「日々是好日」
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    2018年11月28日 KBCシネマ 監督:大森立嗣

    「お茶って変。」
    お茶を習い始めたばかりの大学生の典子といとこの美智子。
    初めてのお稽古で美智子が発したこのセリフは
    まさに観客側の、少なくとも私の気持ちを代弁してる。
    とことん型にこだわる姿こそが茶道の美学なんだろうけど
    傍からみると、意味のわからない動きの連続。

    様々な人生の節目を超えながら
    いつもそこにお茶があった典子の半生。
    厳密な型にのっとったお茶のお作法。
    庭から伺いしれる四季の風情。
    床の間の花と掛け軸。
    季節を映した美しい和菓子。
    なるほど茶道の美学ってこういうことかぁ、ふんふん
    と、うなずけるようにはなっていくのだけど
    どうも私は最後まで「変」ってところから抜け出せなかったな。
    確かに所作が美しいのはわかるのだけど、
    「お茶の天才」なんて言われてもどこがどうすごいのか
    ちっともわかんなかったし。
    極力ドラマを排して淡々とお茶のお稽古の様子を描く
    ってことなんだろうけど
    そのドラマ部分があまりにありきたりだったのも
    なんだかなぁだった。
    親友の結婚。
    恋人の裏切りによる失恋。
    父との別れとそこにのこる罪悪感。
    確かに多くの人が似たような体験をし、
    共感しやすいところばかりだけど
    お父さんの死亡フラグとかちょっとわかりやすすぎで
    ドラマ部分が安っぽくなっちゃたような。
    キャスティングの勝利ってのはあるかもしれない。
    黒木華と多部未華子の対照的な地味顔と派手顔。
    20代から45才までを演じる黒木華の
    顔立ちはかわらないのに、時代を映すファッションや
    和服の着こなしのうつりかわりで感じる年齢。
    何より、この人に1500円払ったのよ、の樹木希林。
    お父さんが死んだあとの典子に寄り添う樹木希林の絵は
    こんな人が自分の人生の味方になってくれたら最強だなぁと思った。
    こうして映像の中とは言え、存在感ある彼女の姿をみていると
    亡くなったことに実感がわかないし、
    ずっと映画の中で生きていくのだからそれも当然のことなのだろう。
    私は一期一会だからこその舞台が大好きなのだけれど、映像の役者さんが
    ちょっとうらやましくなった。

    | 立石 義江 | 映画観る日々 | 13:10 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    「ゲゲゲの先生へ」
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      2018年11月17日 北九州芸術劇場大ホール

      こどもの頃は夜が怖かった。
      外が暗くて、そこにはオバケがたくさんいると思ってた。
      だからこどもは夜は寝ないといけないと思ってたし、
      眠れない夜はオバケが怖くて固く目を閉じてた。
      夜の闇が薄くなった今のこどもはどうなんだろう。
      「人」ではない何かがいる世界を信じたり、怖がったりできるのかなぁ。

      何て言ったらいいんだろう。
      水木しげるの妖怪の世界と前川知大のSFチックな世界が
      こんな風にひとつになるとは。
      近未来SFであり、日本昔話。
      そら怖ろしくて懐かしい。
      共通するのは、「人」ならぬものへの畏怖と愛。
      「闇」がなくなった世界はそんな畏怖をなくしてしまうのかもしれないなぁ。

      今年はイキウメが九州で公演してくれなくてさみしかったので
      イキウメ充できたのが嬉しかった。
      そして、私が前川脚本にはまったきっかけは
      蔵之介さんのTEAM申で前川さん脚本の
      「抜け穴の会議室」だったりするので
      前川ワールドで生きる蔵之介さんをみれてこれも満足。
      池谷さんの「コケカキーキー」はちょっと反則。
      ずるいわ、あんなん。憎めないに決まってる。


      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 00:59 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      「バッド・ジーニアス」
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        2018年11月13日 KBCシネマ 監督:ナタウット・プーンピリヤ

        前編ハラハラドキドキのクライムムービー。
        ここでの犯罪=カンニングなわけだけど、
        たかがカンニングとあなどるなかれ。
        国際的な試験を、厳重な警備をすりぬけ、
        国境まで超えて大規模にやっちゃう。
        もちろん動くお金も大金。
        その才能をもっと違う形に使えよ、とか
        カンニングで大学に入ってその先はどうするの?とか
        つっこみどころは沢山あるけど
        それも含めてタイの若者の今ってことなんだろうなぁ。
        クールなリンともともとマジメなバンクのでこぼこコンビ感、
        美人で女優志望のグレースと金持ちボンクラ息子パットのバカップルぶりが
        青春映画らしくていいよね。
        リンとグレースが全然違うタイプだけど
        多分ないものネダリ的にお互いのことを大事に思ってるっていうのも。

        クライムムービーの面白さって
        犯罪が成功した時の痛快感だと思う。
        いかにアイデアやテクニックを駆使して犯罪を成功させるか、
        しかもその犯罪で被害をこうむる人に同情しなくていい仕掛けがしてあるか。
        この映画は残念ながら、すべての仕掛けは成功しないし、
        あとには苦い味が残る。
        それでも希望の残るラストになったのは
        やっぱり若さゆえ、青春映画ゆえかな。
        そう、なんとかなるよ。

        こういう映画ができる背景には
        タイの格差社会、そこから生じる教育格差みたいなものが
        あるんだろうねぇ。
        それにしては、金持ちの息子がボンクラで
        母子家庭・父子家庭の子が天才というステレオタイプの設定は
        どうなんだろう。
        今の日本もそうだけど、実際は
        勉強にお金と時間をかけられる余裕の差がそのまま学力の差となって
        金持ちの子の方がいい成績をとったりするんだろうけどなぁ。
        その現実はせつなすぎて、面白い映画にはならないよねぇ。


        しょうがないか。


        | 立石 義江 | 映画観る日々 | 17:51 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |