「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」
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    2018年5月29日 中洲大洋 作:トム・ストッパード 演出: デヴィッド・ルヴォー

    なんかねぇ、悔しかったんだ。
    そりゃあ面白かったよ。
    自分の意志とは関係なくどんどん巻き込まれていく二人の姿と
    でこぼこコンビっぷり。
    「ハムレット」という表の芝居の舞台裏の様相。
    私だって、ニヤニヤ、ムフフと笑いながら観てましたよ。
    しっかしさぁ、あいつら=イギリスでリアルタイムで舞台を見ている観客たちったら
    ゲラゲラ、ワハハと笑うんだわ。
    元ネタ「ハムレット」の展開もセリフもよく知ってるだろうし
    英語特有の韻をふんだ、いわばダジャレ的表現もあるんだろう。
    古典とか舞台芸術とかの浸透度も思い知らされる。
    日本にたとえたところで「歌舞伎」のストーリーが
    ここまで浸透してるってことはないし。
    むしろ昔話?
    「桃太郎」や「浦島太郎」の裏ストーリーを楽しんでるくらいの感覚なのかもしれない。
    とにかくなんだか、悔しかったのよ。
    ゲラゲラ、ワハハと笑えない自分が。
    ニヤニヤ、ムフフと笑ってるうちにも物語は
    「ハムレット」同様、悲劇へと転がっていく。
    自分達が託されたのが「ハムレットを殺せ」という親書だったのを知って
    悩む二人に対して、躊躇なく、
    「ローゼンクランツとギルデンスターンを殺せ」という手紙にすりかえるハムレット。
    二人を待っているのは処刑のシーン、ではなくフェードアウト。
    ただ消えていくのみ。
    だからこそ怖い。だからこそ哀しい。
    権力に振り回される市民の姿でもあるのだろうけど、
    役者である自分には、「脇役」の運命としてやっぱり切ない。
    死のシーンさえ許されない脇役の運命。
    たったひとこと。
    「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」。

    | 立石 義江 | 映画観る日々 | 12:33 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    そめごころ「スクリーン」
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      2018年5月24日 冷泉荘

      ルールは誰のためのもの?
      これは誰の夢?誰の現実?
      誰の過去?誰の未来?
      スクリーンの向こうとこちらと思っていたものが
      次々といれかわり、繰り返される。
      無限ループの入れ子構造。

      すぐそこで繰り返される退屈な日常が
      スクリーンに映されることでどこか紗幕をかけたよう。
      そこへ飛び込むリアルな音、窓の開け閉め、ドアのノック。
      これがまた冷泉荘ならではの重い音が突然リアルに響く。
      ドアをたたく音には、何度もびくりとした。

      スクリーンは、
      世界を映すのか、世界を遮断するのか?
      偶然に映り込む窓の外の車や通行人までどこかつくりもののようで。

      窓の外や、ドアがふたつある構造、
      使いにくいはずの冷泉荘の形を面白く使ったなぁと感心。
      アイデアや、やりたいことを形にする力はすごくあるのだと思う。
      でも手放しで「面白い」「おすすめ」と言えないひっかかり。
      体感時間の長さも含め、あと少し、何か、とひっかかる。
      ‘アイデア’や‘表現’の積み重ねが「演劇作品」になるには
      その間に何があるのだろう?
      改めて私も考えてしまう。
      個人的には田島君が一番生き生きしたのが
      「ダークナイト」を語る姿だってのにうけた。

      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 11:07 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      「孤狼の血」
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        2018年5月24日 ユナイテッドシネマキャナルシティ13 監督: 白石和彌

        「孤狼の血」
        2018年5月24日 ユナイテッドシネマキャナルシティ13 監督: 白石和彌

        役所さん、どこまでもダーティーでクレイジー。
        超かっこいい!は言うまでもないけれど、
        桃李君が思った以上によかったわー。
        娼年ではちっともセックスが上手にならなかった桃李君だけど
        この映画では、ちゃんと刑事として成長してる。
        それが、いい方向なのか、あぶない方向なのか
        彼もまた綱渡りの綱にのってしまったってことなのか、
        とにかく、広大出のいい子ちゃんには収まらない刑事になっていく。
        その過程の彼のちょっとあぶなかしい顔ややけくそな顔。
        特に好きな役者さん、てわけでもなかった私でも
        ぐぐっと、きゅんきゅんと、来ていたので
        ファンにはたまらん映画だったのでは?
        欲を言えば、「娼年」のような桃李君のお尻と
        「さよなら渓谷」のような真木ようこの濡れ場が拝めれば
        もっとたまらん映画だっただろうな。
        まぁ、バイオレンスとそこから滲み出る男の色気みたいなもんで
        お腹いっぱいだからそこまでエロスはいらない、というところか。
        何しろ、生き死にがかかった男達の血や汗は
        なによりもエロいなぁと。
        バイオレンスやヤクザものが好きってわけじゃいし、
        ちょっと目をそむけたくなるシーンもあったけど
        徹底した時代の空気感や緊張感は好きだったな。
        役者の面構えって大事よねぇと思った。
        ヤクザや警察、昭和の空気の顔つき。
        男達はもちろん、女優もね。
        真木ようこは程よくブスで、って言ったら怒られるか。
        昭和の水商売の女のすごみがでてて、いい面構えだなぁとか。

        | 立石 義江 | 映画観る日々 | 12:13 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |