劇団新感線「けむりの軍団」
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    2019年9月12日 博多座

    楽しみにしていた「けむりの軍団」で3つの「けむり」を観た。

    ひとつは文字通り、お話通りの「けむりの軍団」。
    軍配師十兵衛がみせる幻の煤煙党。
    大量の松明やどこからか飛んでくる矢。
    見えているものから想像を広げて
    実際には見えないものまでが見えてくるのは
    軍配師の作戦、とは言え、すごく「演劇」っぽいなぁと。
    かつての軍配師は生まれ変わったら演出家になってるかもしれない、なんて。

    もうひとつは昨今のきなくさい時事にも似た「けむり」。
    疑いや怖れの気持ちが見せるけむりの姿。
    見えない敵、まだ刀を抜いていない敵、けむりにおびえて
    こちらから刀を抜く、奪いに行く
    「守るため」の戦いと誰もが言うけど、
    池田成志さん演じる美山輝親が城を失った時のように、
    戦わないこと、負けることで守るものもあるのかもしれない。
    いや、そうあってほしいよ、と、現実とも重ねて思う。

    そして、けむりの軍団はここにいる。
    ある時は侍として、またある時は百姓として、僧兵として
    斬られてははけ、でてきては斬られる。
    着替えては踊り、また着替えては歌う。
    アンサンブル諸君、君たちこそが
    実際の手勢を何倍にもみせる「けむりの軍団」そのものではないか。
    本当に拍手を送りたい。

    それにしても久しぶりだった生「新感線」。
    ゲキシネで観られることに満足してなかなか遠征してまで観ないものなぁ。
    チケットとるのも大変そうだし。
    それぞれに見せ場があるザ・新感線の舞台におなかいっぱい。
    もみじしょって一人で舞台に立っても絵になる古田さんの存在感。
    かわいくてよく動く、新感線らしい姫を好演の清野菜名。
    高田聖子さんのアクションも久しぶりではないかしら。
    そしてもううっとりとしか言いようのない早乙女太一の殺陣。
    スピードといい動きの滑らかさ・美しさといい群をぬいてる。
    何よりも、同級生粟根まことの
    歌い、踊り、大薙刀でキレキレの立ち廻りまである活躍ぶり。
    あぁやっぱりちゃんと身体はつくらないかん。

    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 12:32 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    演劇関係いすと校舎「もものみ。」
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      2019年9月14日 自宅劇場守田ん家

      いいなぁ、羨ましいなぁ。
      いすと校舎さんを観にあの劇場へ行くと羨ましくてしょうがなくなる。
      芝居の中の、住み慣れた懐かしい空気の一軒家、
      家族や地元のコミュニティの濃密な空気。
      あの劇場でなければ
      劇団で積み重ねた時間がなければできないあの作品。

      わかってる。
      全部ないものねだり。
      今さら、田舎で暮らすことも
      劇団に所属することも
      そしてこのお話の中の人たちのようにこれから家族をつくることも
      ないであろう私のないものねだり。
      でも不思議と懐かしい景色や心地いい空気に
      かつてそんな思い出があったような
      これからそんなできごとがあるような錯覚。

      お話は桃を栽培する農家の日常の風景。
      大きな事件は起こらない。
      いや、父親を亡くしての初めての桃の最盛期をのりきったことも
      出戻り娘がまた戻ってきたことも
      次男が初めて彼女を家に連れてきたことも
      家族にとってはちょっとした事件。
      何しろクライマックスが兄と弟の相撲だからね。
      小さな事件と何気ない日常の積み重ねの中でも
      人の心は、迷い、揺れるし、
      一歩踏み出す気持ちだって生まれる。
      そんな小さな心のひだが丁寧に拾われていく会話劇。
      沢山の人に観てもらいたい作品だけど、
      やっぱりここで観てもらいたい。
      棟続きの店舗のほうから遠く聞こえる声、
      ぷいと茶の間を出たあと二階への階段を昇る足音、
      頭上の二階から聞こえる掃除機の音。
      自宅劇場、ほんとに羨ましい。



      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 14:33 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      劇団HallBrothers「足は口ほどにものを言う」
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        2019年9月2日 ぽんプラザホール

        劇団20周年おめでとうございます!の第三弾。

        HallBrothersさんは公式のHPやTwitterなんかでも
        人が普段隠している「ねたみ・そねみ・ひがみ」を描きだすお芝居
        って自分でも言ってるし、
        実際、ここ数年はそのいやらしさを
        「あるある」でも「でもちょっと心当たりもある」なんて
        ちくちくしながら観る感じだったんだけど。
        なんかちょっと優しくなってきましたよね、人に向ける視線が。
        それは、隣国を叩いたり、
        SNSで言いっぱなしで人を貶めたりする
        最近の風潮への警鐘のようでもあるし、
        幸田さん夫妻が親になっての視点であるのかもしれない。
        特に今回は、リフレクソロジー、足裏マッサージの癒しの場が舞台だもの。
        がんばってる自分や疲れた自分をちゃんと認めてケアする場所だもの。
        人の身体にちゃんと向き合うことが
        気持ちに向き合うことにもつながってるってのがいいよね。
        人間の身体って、自分で思っている以上に自分に正直。
        一年に4本の連続公演もあと1本。
        脚本を書く幸田さんはたいへんだろうけど、
        役者さんものびてきたなぁと思うので
        ラストまで無事の完走をお祈りしております。




        | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 12:55 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |