ラッパ屋「2.8次元」
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    2019年6月29日 北九州芸術劇場小劇場
    もしも、もしもですけど
    今まで芝居続けてきたご褒美にどっか好きな劇団にひとつだけでて出演していい、
    って言われたらどうします?
    私なら出演してみたい劇団のNO.1がこのラッパ屋。
    作家と役者(多分観客も)が一緒に年齢を重ねてきて、
    その年齢ならではの夢も悲哀もちゃんと描いてて。
    北九州公演は3年ぶりらしく、途中一回東京で観劇したから、
    紀伊國屋ホールで見たラッパ屋を北九州の小劇場の最前列で観る贅沢に震える思い。
    ましてやコンボイの黒須さんがあの距離で!
    三鴨さんも久しぶりだったし、もっともっと観ていたかったわ。
    隣の中劇場ではケラさんが3時間の芝居をやってたことだし、
    もっと長くていいのにー、終わらないで―って思いながら観てました。

    今回の舞台は、老舗新劇劇団の稽古場。
    観客の高齢化とともに動員数は減る、
    たのみの綱の学校演劇はわかりやすいミュージカルに持っていかれる。
    歴史と立派な稽古場こそあるものの
    正直存続の危機にある劇団に持ち込まれた「2.5次元」演劇とのコラボ企画。
    劇団の存続をかけた公演は果たしてうまくいくのか・・・

    キャラメルボックスのこともあり、
    「劇団の存続」の厳しさが浮き彫りになったよりによってのこのタイミング。
    ラッパ屋ならではの大人の味つけで笑い飛ばしてはくれるけど、
    笑えないよねー。
    実際、you tubeやらTIKTOKやら、短い時間で勝負がつく娯楽に慣れた人たちを
    2時間近く拘束して、しかもわざわざ事前に予約して出かけていって、という
    こんなメンドクサイ娯楽に呼び続けることができるのか。
    乗り気じゃなかった20代のイケメン俳優や、二次元作家、
    見学のはずのおじさんサラリーマンまでその気にさせてしまうところが
    「演劇」の楽しさなのだと言いたいところなのだろうが
    結局、皆もとの居場所に戻っていくことを思わせるラストは少し寂しい。
    「もうすぐ50よ」と唄いながら、夢を諦められない彼女たちの姿は私の姿。
    イタくてもせつなくても、そこに居続ける。


    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 12:39 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    「主戦場」
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      2019年6月22日 KBCシネマ 監督:ミキ・デザキ

      お見事!としかいいようのない展開。
      「新聞記者」の感想の時にも書いたけど
      ドキュメンタリーなのにドラマティック。
      慰安婦問題を巡って、米国・韓国・日本でそれぞれ何が起きているか。
      並べられるのはどれも事実で、
      それぞれの立場の識者や、関係者の言葉そのままなのだけど
      とてもわかりやすい順番で展開されて
      「慰安婦問題」を知らない人にもわかりやすい。
      どころか、「この人の言葉をこう並べるか―!!」とか
      「ここでラスボス登場??」とか
      もはやエンタメと言えるくらいに
      筋立てが面白い。

      いやいや、もちろん面白がってるわけにはいかないんだけど。
      とにかく日本の現状のひどいこと、ひどいこと。
      慰安婦像が是が非かの前に
      慰安婦問題自体をなかったことにしようとする歴史改ざん主義者たちの
      無謀で無敵(?)な主張。
      慰安婦問題そのものを知らない若者たち。
      ジェットコースターのようなスピード感あふれる展開に
      「へー」「ほー」「まさかー」と言っているうちに
      いつのまにか背中がうすら寒くなってくる現実。

      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 20:14 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      KERA MAP「シネマと恋人」
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        2019年6月30日 北九州芸術劇場中劇場

        初演の東京公演の時からずっと観たかった「キネマと恋人」が
        北九州で観られるなんて。
        映画は夢。
        北九州で過ごした中高生の頃は、生のお芝居なんて観る機会もお金もなくて
        芝居好き心を満たすのは映画館が全てだった。
        中学生の時に黒崎ロキシーで初めてみた“大人”の映画「風と共に去りぬ」。
        高校生になったらひとりでも映画館に通うようになった。
        中間・期末考査が終わった平日昼の早い時間、時には学校さぼって朝いちの映画館。
        大学生になって大阪に住んで、500円で観られる名画が魅力でお尻の痛さも忘れて通った大毎劇場。
        あの頃から何度スクリーンに向き合っただろうと考えて、
        ラストシーン、スクリーンを観て泣き笑いの姉妹の姿に涙が出た。
        映画は夢。
        泣ける時も笑える時も映画は夢。
        「カイロの紫のバラ」を見直して、予習した甲斐があったわ。
        映画への愛と希望を演劇で経験できるなんて、ほんとに私にとっては夢のような時間。

        緒川たまきさん、もう反則、と言っていいほどに可愛い。
        あのどこともしれぬ方言がまたその可愛さを倍増させる。
        妻夫木さんも舞台よりも映画のイメージだったけど、華のあるいい役者さんやなぁ。
        ともさかさんも誓さんも全力で着替えては何役もやる全員野球感も素敵。
        アンサンブルの動きの美しさはさすがの小野寺さん振付。
        初演と同じメンバーで再演することに意味のあるいい座組みだなぁなんて、
        外から見てるだけだけど、いろいろ想像できちゃう。
        KERAさんの映画への愛と、座組み(たまきさん?)への愛にあふれた時間は
        私にとっても幸せな時間だった。


        | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        OPUS スィミラーツアー
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          2019年7月12日 KONYAギャラリー

          劇場よりも身近な場所で
          がコンセプトのOPUS。
          今回新たな会場をいくつか加えてのツアーでKONYAギャラリー。
          私にとっては劇場が一番身近な場所なので
          結局KONYAで観るのが一番しっくりくるんだよなぁ。
          おしゃれカフェが逆に居心地悪い、ベタ演劇人(笑)。

          「オセロ」は枕(とは言わないか)のループタイの話と
          オセロゲームの勝敗が気になり過ぎて落ち着かなかった。
          いや、役者二人はもっと落ち着かなかったやろうけど。
          甥っ子が小学生くらいの頃はよくやったなぁ、オセロ。
          いつも全力で戦う派です。
          「フィッシング」は母も娘も天然のなるほど親子の
          愛らしいエピソード。
          どっちにしたって、理由もなく「距離を置こう」だの「やり直そう」だの
          言う男はやめといたほうがいいけどね。
          たぶん天秤かけてるよ。
          「あなた」はサカセ&ミンジ夫婦で見たことあるのの再演かな。
          亡くなったあの人に夢とわかっていても会いたいのか。
          亡くなったあの人は夢とわかっていても会いにきたいと思ってくれるのか。
          どちらがどちらの夢の中で願っていることなのか
          頭の中の永遠のループ。

          | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 18:11 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          「三婆」
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            2019年7月6日 博多座

            さすがのコメディエンヌ3人豪華メンバー。
            お母ちゃん孝行と、生大竹しのぶを目当てにチケットとったけど、
            渡辺えりさんの迫力と木村緑子さんの色っぽさ。
            役柄上受けの芝居が多いこともあるけど、
            ちょっと大竹しのぶがおされてるくらいの勢いだったよ。
            お話は50年くらい前?東京オリンピック前の設定だから
            お妾さんだの女中だの、イマドキではない言葉も飛び交うけれど
            時代が変わっても変わらぬ女性の逞しさと、
            憎めないキャラクターが今でも支持されるんだろうな。
            一幕終わり、緑子さんに乗せられ丸め込まれたあと
            ひとり、着物をとっかえひっかえあててみる大竹しのぶのシーンが
            せつなかった。
            せめてもの着道楽で集めた着物は、どのくらい日の目を見たんだろう。
            籠の鳥と自分を重ねるえりさんのシーンもだけど、
            縛られてきた人生や、これから老いていく自分。
            自分のこと、隣に座っている母のこと、
            いろいろ考えてぎゅーんってなった。
            あ、ひとつだけ言わせてもらえば今どきの80代はあんなによろよろじゃないです。
            現に母は、自分がつくったスーツやコートを身に着けて
            ソニックに乗って博多座に来るのを
            楽しみにしているからね。


            | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 12:50 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            「ファブル」
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              2019年7月5日 ユナイテッドシネマももち 監督:江口カン

              「ガチ星」「めんたいピリリ」と地元由来の映画は撮っていたものの
              ついにメジャーデビューという感じですかね、江口カン監督。
              めでたい、し、嬉しい。
              そして面白かったです、ファブル。
              なんか「面白い」って語彙が貧しくてごめんなさい。
              普段アクションものあまり見ないし、
              おばちゃんは動体視力がついていかないのか
              何がどのくらいすごいのかよくわかってなくて。
              ただ、殺すためのアクションと殺さないためのアクションの
              対比って面白いなと思いました。
              「殺す」あっけなさと「殺さない」真剣さ。
              木村佳乃好きなので、彼女のアクションとか
              不二子ちゃん的活躍とかもう少し期待しちゃったわ。
              原作は知らないので、どこまで原作通りかとかわからないけど
              ジャッカルのギャグが何となくカンさんぽい。
              ちょっとすべり気味なギリギリなとこ、好きそうだもの(笑)。

              | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              命の洗濯劇場「ペケな人々」
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                2019年4月19日 冷泉荘

                んー、若い。
                大学の映研の部室が舞台だから当然若い。
                そうだよなぁ。部室ってこんな感じだよなぁ。
                とふむふむしながらも
                その頃の痛みや甘酸っぱさを思い出すには
                私はちと年齢をとりすぎたのかなぁ・・・などと全く別の感慨が。
                役者さんは、それぞれの役割をよく心得た演技だと思ったけど
                その分ちょっとステレオタイプかなとも。
                器用でちょっとチャラい男とコミュ障の男が親友同士。
                女の子はおしゃれでしっかり者と内気なタイプと天然女子。
                組み合わせがちょっと80年代トレンディドラマっぽい(笑)。
                まぁその頃はコミュ障なんて言葉は使ってなかったと思うけど。
                ここへ異世界の将軍がドーンって入ってくるのは
                世代的に全く違う役者さんを使うのも含めて異質で面白かった。
                小道具のひとつであるポスターがよくできてたよね。
                ちゃんと大学映研らしい匂いがしてた、と思うのは
                こちらにも80年代ぽい香りがしてたということかしら。
                それとも映研とか演劇部とかの部室ってそんなにかわってないって
                ことなのかなぁ。
                大学の時は物置のようなスペースだけで部室らしい部室がなかったので
                高校時代の部室の方を思い出した。
                演劇部と映研と文学部がごちゃまぜ。
                なぜかギターとトランプの日々。

                | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 11:23 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                ベッド&メイキングズ「こそぎ落としの明け暮れ」
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                  2019年4月13日 北九州芸術劇場小劇場

                  たくさん笑ってたくさんもやもやした。
                  いや、いい意味で。
                  「みえないものを追いかける」ことの切なさ、
                  みえそうでみえない、手に入りそうで入らないからこそ
                  また追ってしまう人の性。
                  そんなことを考えながら、でもやっぱり見えないものを見たくてもやもやした。
                  アフタートークで答え合わせ的に「神様」とか「宗教」みたいな言葉がでてきて
                  ちょっと納得した。
                  もちろん特定の「宗教」ではなくて、
                  何か見えない、でもきっとあるだろうものを信じる力。
                  私も神社仏閣で祈ることはあるけど
                  それは特定の「神様」に向かってというよりも
                  漠然とした大きなものに向かって祈っているような気がするから。
                  なんて書くとすごく哲学的なお芝居だったみたいだけど
                  実際はすごく笑った。
                  噛み合わない会話、男の身勝手、女の妄想,さらに暴走・・・
                  作・演出の福原さんが、岸田戯曲賞受賞後初の長編かきおろし。
                  出演者の女優さんも、美人・曲者とりそろえて粒ぞろい。
                  小劇場をどう定義するかってのは難しいけど
                  いわゆる「小劇場系」の劇団が勢いや規模でひとつ超えていけるかどうか
                  みたいなタイミングの公演なんだろなぁと思うと
                  このタイミングでよんでくれた北九州芸術劇場に感謝。

                  | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  ロボットパンケーキZ「新しい日のたんじょう」
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                    2018年12月22日 KONYAギャラリー

                    ひきこもって暮らす男と
                    彼をささえるけなげな少年。
                    ひっそりと暮らすアパートに
                    乱入してくるやんちゃな兄。
                    小さなアパート、小さな世界。
                    前半、閉じられた空間の閉じられた会話がちっとも頭に入ってこなくて苦労した。
                    世代の違いなのか、あの空間のせいなのか、
                    リアルなはずの会話がちっともリアルに響いてこない。
                    逆に、お風呂場の人魚や
                    どなりこんでくる上の階の住人、
                    この小さな空間で違和感のある「異物」ほどなぜかとてもリアルな存在にみえる。
                    そして危ない薬というもうひとつの「異物」。
                    「異物」に揺れた小さな世界は内側からひっくり返って
                    また小さな世界にたどりつく。
                    その失望感と安心感。
                    あいかわらず、彼らのリアルはちっとも頭に入ってこなかったけど、
                    ラストシーン、小さな部屋でさらに小さな世界を見つめる二人が
                    いつの間にか少し愛しくみえたから
                    まぁそれはそれでいいのかなぁと。
                    違和感の塊のような薔薇園さんと
                    対照的にほんとに小さく小さく揺れるちるちゃんがよかった。

                    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 00:29 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    柴田智之一人芝居「寿」
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                      2019年2月12日 なみきスクエア

                      なかなか観たことのないタイプの一人芝居。
                      老人介護施設で働き始めたA子さん。
                      膨大な仕事量。
                      高齢者の性格も、老いの実情もそれぞれで
                      それは一人一人違う人間なのだから当たり前のことなのに、
                      「一人で一晩、○人の高齢者のケアをする」と
                      数字と時間を割り当てられてしまうことの理不尽さ。
                      緻密に観察されたお年寄りの生態とA子さんの生活。
                      しんどいながらも、柴田さんのキレキレっの演技で
                      ユーモラスに描き出される施設の日常。
                      「老い」というものが迫ってくるこの年齢になると
                      これだけでもおなかいっぱいになるくらいの現実。

                      A子さんの担当のお年寄りの一人、B次郎さん。
                      学校の先生をしていたという穏やかで知的なご老人。
                      B次郎さんとの会話に仕事の疲れを癒されていたA子さんだが
                      彼にも老いはせまってくる。
                      できないことが増えていき、やがて亡くなるB次郎さんの
                      ご葬儀あたりから、お話はいっきにシュールな展開。
                      いや、シュールというのも違うかもしれない。
                      私の語彙力が足りない。
                      B次郎さんのフラッシュバックなのだろうか。
                      これまでの人生をたどり、
                      思いだし、また忘れ、昇華していくまで。
                      魂が肉体を離れ、離れがたくて震え共鳴しあうようなパフォーマンス。
                      A子さんの過酷な日常とまっすぐに仕事に向かう姿勢。
                      国を信じ、戦争に憧れ、裏切られ振り回されながら生きてきたB次郎さんの歴史。
                      そして演者である柴田さん自身の生き様。
                      3人の人生ががっぷりよつに組んで
                      組んだままのたうちまわるような一人芝居。

                      余談ですが、
                      客席に1週前に同じなみきスクエアでのヒカリノオト公演で観た顔が。
                      確か通りすがりに気になったと言って当日券買ってくれた人。
                      あれがキッカケでまたなみきにお芝居観にきてくれたんだったら嬉しいなぁ。

                      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 12:35 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |