ゴジゲン「くれなずめ」
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    2017年11月12日 北九州芸術劇場小ホール

    青臭くこっぱずかしい若い頃やもう会えない人を思い出す甘苦い後味。
    センチメンタルがあふれて、センチメンタルだけでは生きていけなくて。
    男子がちょっとうらやましいぜ。
    男の子だけじゃないとあの後味にはならないの、女子としてはくやしいけど。

    友人の結婚式で久々に集合した高校時代の仲間。
    当時の文化祭の出し物を披露宴で再演するもどん引きされ、
    二次会までは中途半端に時間がある。
    付近のお店もいっぱいで行き場のない6人の男達。
    いや、正確には人と20代で亡くなったヨシオの幽霊(?)
    芝居を続けていたって夢だけでは食べていけないし、
    仕事やら結婚やら子供やら
    年齢とともに現実的になっていく自分もいろ。
    過去を懐かしく思ったところで、実際はそんなにドラマチックじゃない。
    昔好きだった子に再会しても人生はかわらないし、過去が書き換わることはない。
    それでも生きていく。
    思い出したり忘れたりしながら。
    ヨシオは成仏したかなぁ。なんて思い出しても
    それはやっぱり自分の為なんだな。
    わかっているから甘苦いんだな。

    大病をしたばかりのせいか、ふと
    「自分が病気で死んでいたら仲間はこんなふうに私を思い出すだろうか」と思いがよぎる。
    いや、50で死んだってこんな物語はできはしないよ。
    もう死ぬタイミング逃しちゃったよ。
    長生きしよう。

    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 20:16 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    GIGA「谷岡紗智の悲劇三部作」
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      2017年7月27日 ぽんプラザホール

      「フィクション」とかカギカッコをつけるとしても
      見ようによってはなかなかエグいお話。
      毒も棘もたっぷりあるのに
      どこか飄々と淡々とすすんでいくので
      不思議と生生しさはない。
      さちんちゃんという作家の人柄ゆえにケムにまかれたか。
      演出山田恵理加の料理の腕か。

      生身の人間同士の接触が排除され
      セックスも子育ても政府に管理される世界「2200年のMother'sDay」
      近くにいる人間の感情を共有できる能力を持ったばかりに
      セックスの快楽も覗き見できる代わりに
      自殺する人間の恐怖まで共有してしまった男の話「タワー」
      母と娘、そのご近所さん、どこにでもありそうな日常が
      壊れていく怖ろしさ「10月の風鈴」。
      近未来の設定、ありえない能力と
      遠くの世界で起こった救いのない話から
      最後にぐっとご近所のありえそうな話まで
      実は近くにある恐怖と狂気。
      うーん、やっぱりエグイか(笑)。


      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 23:19 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      hen house「いぬとねことにんげんのポルカ」
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        2017年7月22日 ぽんプラザホール

        私はペットを飼ったことがない。
        子供の頃から社宅暮らしだったし、
        母は動物は死ぬから怖い、と言う人だったから
        身近に動物がいたことがない。
        今でも、犬や猫に触るのがちょっと怖い。
        触り方がわからない。
        大人になって、家族のように犬や猫と暮らす友人達を
        少し羨ましく思うことがある。
        どちらにしてもこんなに一人暮らしが長くなっては
        いぬともねこともにんげんとも
        あらゆる動物と一緒に暮らす自信はないなぁ。
        ずこねぇちゃんもきっとそんな風に一人暮らしをしてきた人で
        家族と暮らすことが不得手な人なんだろうなぁ。
        それでもキキちゃんと暮らしたかったんだろうと思うと
        何だかいろいろ身につまされるよ。

        今村姐さんの脚本には、
        しばしば見えてはいけない不思議なモノが役者の身体を借りて現れるのだけど
        今回は、ケンタとキキといういぬとねこが役者の形をしていて、
        どう見ても中年のおっさんがいつの間にワンコに見えてくるマジック。
        それに気づいた後はキキちゃんはもうキキちゃんにしか見えないという・・・

        ちょっとツンデレ。
        ヘンハウスさんはいつも
        不器用な登場人物たちの愛おしい生き方を描いてくれる。
        今回はことさらに「不在」。
        いなくなってしまった誰か。でも確かにそこにいる誰か。
        を感じさせて。
        ラストシーン。
        今そこにいてくれるケンタを感じて
        自分の中なのか、この家のどこかなのかにまだ存在するキキちゃんを感じて。
        でもそれを感じるからこそ、
        自分の腕の中の骨壺の感触とキキちゃんの不在がより哀しくて。
        ずこ姉ちゃんの笑い泣きがなんとも言えずせつなかった。


        | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 00:20 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        劇団PA!ZOO!!「しゃっちがしゃーしー」
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          2017年10月21日 リバレインホール

          劇団25周年、第35回公演なんだって素晴らしい!
          その中でもこのお掃除おばちゃんシリーズはどのくらい
          演ってるんだろう?
          もう貫録さえ感じる安定したキャラ。
          劇団のベテラン3人は固定したキャラクターを演じる中で
          毎回新たな人物を絡めて新たなお話を展開するって大変なことだよね。
          でもそれをできるのも「劇団力」ということか。
          ほんとにすばらしいし、正直羨ましい。

          田中さんの痛快な啖呵や加藤さんの穏やかだけど適格なツッコミは
          いつもの通りで心地よく、いつまでも見ていたいくらい(笑)。
          でも今回のみどころは何と言っても田中さんの
          着ぐるみをかぶっての汗だく演技。
          よくある、
          「え?あの田中さんに着ぐるみかぶせて汗だくにするなんて?!」
          という出落ちで笑いをとるような安易なものじゃないですよ。
          とにかく、着ぐるみをかぶっての
          身体表現というか、身体の表情が豊か。
          顔が見えないのに表情豊かってどういうことよ!
          と逆にツッコミいれたくなるくらい(笑)。

          | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 20:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          サードステージ「ベターハーフ」
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            2017年7月29日 久留米シティプラザ久留米座

            4人の男女の恋愛模様。
            誰だって愛したいし、愛されたい。
            だからもつれるし、すれちがうし、希望も絶望もある。
            たった4人の中でくっついたり離れたりを繰り返す。
            しかも、好きになる要素にルックスもすごく関係してるって
            ともすればいやらしい感じだけど、そこは絶妙なキャスティング。
            女優としの自分の夢が最優先な遥香。
            性同一障害を抱え女として幸せになりたい汀。
            仕事優先で恋愛にはおされ弱い祐介。
            ふられ続けてとにかく愛されたい沖村。
            遥香が男に媚びないところとか
            祐介が二枚目すぎない感じとかに救われてる。
            ましてや、沖村と汀の「愛されたい」気持ちの強さは
            誰もが持ってるのに、こんなにはストレートに表現できない。
            そのストレートさがちょっと羨ましくもある。
            愛されたいとダダをこねるギリジン、
            かわいいし、いじらしいし、めんどくさい(笑)。
            並みのダメンズにはできない芸当でした。
            中村中さんの歌ももちろん素敵だったけど
            予想以上のコメディエンヌっぷりにも驚いた。

            | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 20:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            宇都宮企画「あした、雨がふったなら」
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              2017年7月9日 engel

              街と結びついた物語が好きだ。
              所属していた劇団でそういうお話ばかりやっていたからかも知れないし
              もともと旅好きだからかもしれない。
              旅に出るとその街の物語を読みたくなるし。
              この作品はもっとピンポイントに
              会場である「engel」というカフェ
              その建物そのものの記憶をたぐるような物語。

              生活感あふれる鉄工所だった建物が
              居酒屋、レコード屋、アトリエと移り変わり
              そこに集う人の人生と重なり、また離れていく。
              新たに生まれた不思議な生き物、
              記憶の精のようなもの?
              いや、もしかしたらその地に生まれたネコか?
              がその歴史をたどっていく時間の旅。
              宗教チックなシュールな展開をはさみながらも
              一貫して流れる、そこで過ごした人への敬意や温かい目線。
              窓の外から聞こえてくる電車の通過音までが
              この場所ならではのBGMに聞こえて愛おしくなる。

              | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 08:52 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              HANARO PROJECT「セレモニー」
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                2017年7月1日 あじびホール

                国際結婚。
                韓国人のバツイチ花婿と日本人の花嫁の結婚式が船上で行われようとしている。
                違う土地、違う文化で育った二人が結婚するってのは
                二人の気持ちだけではどうにもならぬ部分もあって
                次から次へと起こるトラブル。
                果たして結婚式は無事に終わるのか。

                HANARO PROJECTという
                日本と韓国の演劇を通しての交流プロジェクト自体が
                この結婚式と重なってくる。
                文化の違いや温度差。
                演劇が好きだけでは埋められないものもあるだろう。
                それでも、戯曲の交換や同じ戯曲の同時上映などの試みを経て
                今回はやっと共にひとつの作品をつくった。
                それはこの若い二人の結婚式のシーンと重なって
                希望や決意を感じさせてくれた。

                結婚を巡る家族の距離感の違いが面白かった。
                韓国チームの家族の重みや
                ちょっと韓流ドラマをにおわす恋愛観。
                韓国のお母さんはやっぱり迫力満点。
                日本の父のちょっと哀愁漂う感じと対照的なのも
                らしいよね。


                | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 14:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                梅棒「ピカイチ!」
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                  2017年7月8日 くるめシティプラザ

                  噂には聞いていた。
                  「J-popにのせてダンスでストーリーを展開するエンタテインメント」。
                  え、セリフはないの?ダンスだけなの?
                  という戸惑いをぶっとばすパワー。
                  噂通り、というか噂以上でびっくりした。

                  しょっぱなは「ついていけるかな」と不安になった。
                  前にミュージカルの感想でも書いたけど
                  どうやら私は歌詞をセリフとして聞き取るのが苦手。
                  まして私の世代にはなじみ薄いイマドキのJ-popナンバー。
                  歌詞がよくわからんところに、ダンスの密度が濃くて
                  目から耳から流れ込んでくる情報の処理が追いつかない感じ。
                  あてぶり的な動きを含むダンスと表情で
                  何が起こってるかはわかるけど、これ疲れるわー。
                  というあたりでやっと聞こえてきた体育の先生の「セリフ」。
                  ホッとしたわー。
                  やっぱり少しはしゃべってくれないと、情報読むのに疲れるわ。
                  しかも一色さん演じる体育の先生が歌うのは「ウルトラソウル」。
                  やっと知ってる曲がきたーと二重の意味でホッとした。

                  これは、なんと言ったらいいんだろう。
                  芝居でもミュージカルでもない。
                  「梅棒」というひとつのジャンルと言うべきかもしれない。
                  セリフのかわりに、とにかく踊りで表現する密度が濃い。
                  踊りっぱなしのエネルギーもすごいけど
                  そこからちゃんとキャラや人間関係が伝わってくる表現力。
                  セリフもないしストーリーは単純なんだろうと思ってたら予想の上行く展開、
                  ちゃんと伏線あり、回収ありで
                  既成の歌詞にのせてこれがやれちゃう構成力というか演出力もすごい。
                  何よりもお客さんを巻き込む力がハンパない。
                  私の世代にはなじみ薄いJ-popナンバーばかりなのに
                  気が付けば手拍子をしてしまう、応援をしてしまうこの楽しさ。
                  リピーターが多いのも納得だなぁ。


                  | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 13:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  順風男女「7up」
                  0
                    2017年10月31日 甘棠館Show劇場

                    書きたくないなー。
                    ネット上でみつけた感想とほぼ感想が同じで
                    「やっぱそうだよねー」と思うと同時に
                    なんかのっかったみたいで恥ずかしくて
                    この感想をアップしたくなかったんだけど・・・

                    東京の劇団、福岡出身の人がいて7周年にして初福岡公演。
                    役者がやるコントというのが売り。
                    ツアー用にコンパクトに来るのかと思えば12人出演の大所帯だし、
                    情報もそーんなに出回ってる感じもしなかったし、
                    せっかく東京から来た劇団の公演がガラガラだったら
                    なんか申し訳ない、行かなきゃと思ってしまった。
                    会場に入ってほぼ満席の客席に驚き。
                    福岡出身とは言え、桂川町出身の方が平日にこれだけの人を集められる
                    人脈を持ってるならそれはそれでたいしたものだ。

                    で、正直なところ。
                    前売り-当日2500-3000円の料金と約2時間の上演時間。
                    ちょっと割高感と体感時間の長さを感じた。
                    いや、ちゃんと笑ったよ。
                    面白くなかったとかいうわけじゃない。
                    ちゃんと笑ったけど、爆笑、とか、この笑いにはやられたなぁという感じはなくて。
                    次々から繰り出されてくるコントにちょっと飽き気味になってしまったのは
                    やっぱり私が「お笑い」よりじゃなく「芝居」よりの人間だからか。
                    この本数のコントが並ぶなら、登場人物の関連とか
                    連続性とかにもう少ししかけがないとちょっと辛いなーとか考えてしまう。
                    「役者」がコントやる強みみたいなのもうまく生かせてなかったように思う。
                    面白いと思ったのは「レジ前の攻防」と「眠れない夜は誰のせい」
                    「レジ前の攻防」はレストランのレジ前でおばちゃん達が「今日は私が払う」という攻防を演じるネタ。
                    「眠れない夜は誰のせい」は二世帯住宅を舞台に、自分の夫と舅の濃厚なおやすみのキスの習慣を辞めてほしい嫁と、長年の習慣から卒業したくてもできなくて苦悩する夫のお話。
                    あるあるなシチュエーションをリアルにうなづかせたり
                    ありえん設定に妙に説得力を持たせたりするのが
                    やっぱり役者がやるコントの面白さじゃないかな、と。
                    即興的な要素や役者の素が垣間見えることで笑わせる
                    「謝罪会見」「クイニーアマン」のネタはちょっと力技な感じ。
                    こういうのはキャラやボケ・ツッコミの加減で笑わせるお笑いの人向けのネタかなぁ。
                    いや、これもちゃんと笑ったけど。
                    こういうネタで笑わせることも難しいし、ちゃんと成立させてるとは思ったけど。

                    それにしても、某企画の役者コントよりは面白かったというところまで
                    同じ感想だからなー。
                    これはほんとにのっかってないよ。当時もちゃんとそうブログに書いたから。


                    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 13:53 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    短距離男道ミサイル「走れタカシ〜僕が福島まで走った理由〜」
                    0
                      2017年10月14日 アイアンシアター

                      太宰治の「走れメロス」。
                      もちろん読んだことはあるけど、それ以上にこれをテーマにした芝居は随分みたと思う。
                      メロスそのものだったり、パロディや劇中劇としてとか
                      よく知られ、よく使われるテキスト。
                      結末ももちろんよく知った通りの結末なのだが
                      噂通りの熱い芝居とライブ感に
                      爽快感すらあるラストシーンになった。
                      暴君・ディオニス王を身勝手な劇団主宰と重ね合わせ
                      故郷の家族を思うメロスの気持ちを
                      被災地福島を思うタカシの気持ちと重ね合わせる。
                      なかでも、メロスを待つセリヌンティウス=人質にだされた劇団員コハマの独白が
                      同じ演劇人として胸に痛い。
                      家族を恋人を待たせ続けてきた自分自身だから、今は待つのだという告白。
                      走ることを諦めかけたメロスの無力感と
                      芝居を続けていくことへの諦めや無力感につながりそうになるのも
                      もうわかりすぎていたたまれない。
                      いや、メロスが立ち向かう試練の数々とか
                      もう大笑いして観る芝居なんだけど
                      なぜか、小さなトゲが心に残るのは私が同じ演劇人だからか。
                      それとも大人になって社会人になっていく過程で
                      誰もが感じる焦りや諦めの故なのか。
                      いや、勝手に自分と重ね合わせて感傷的になってるだけなのかも。
                      なーんにも考えず、男達の汗と焦りと肉体と大真面目なバカ騒ぎに
                      身をゆだねるのもそれはそれで正解だろう。
                      九州への再上陸は11月の熊本は花習舎、カシューナッツ演劇祭。
                      ツアー用のコンパクトなセットとは言え、
                      あのマシンがわずか12帖の花習舎の空間を埋めるのかと思うと
                      その濃密な空間をもう一度観たいくらいだ。





                      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 07:38 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |