下鴨車窓「微熱ガーデン」
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    2019年2月9日 ゆめR大橋

    穏やかそうな劇団名とタイトル、
    作家さんの風貌をからぼんやり連想していると、
    なんか裏切られたようなサスペンスフルな展開。
    会場に入ると8畳ほどの空間に長机と鉢植えの緑がいっぱい。
    これも、一瞬「癒し系」かなぁなんて騙される。
    てか、まず「え?どこで芝居するの?」って思うよね。
    長机の前後と間、椅子が置ける空間が少しだけ。
    会話劇だからこれで成立するっちゃするわけだけど、
    初めはちょっとびっくりした。

    大学から離れた田んぼの中のアパートで植物を育てている女子大生の結。
    その仕事を紹介したらしい友人の理奈。
    二人の会話は何かヤバい雰囲気。
    警察、下の階のおじいちゃんの孤独死、
    ばれてはいけない植物の特別な匂い・・・
    おじいちゃんの部屋の片づけにやってきた孫の野間を
    部屋にいれたあたりから崩れていく結と里奈の秘密。
    実際は、とっくに危ないことになっていたのに。
    てか、おじいちゃんが一番危ない人だったてのが衝撃でした。

    ラストシーンは、二人がヤバい植物を栽培し始めた時に時間を戻して。
    無邪気な二人の会話。
    二人の笑顔を救いにしていいのか、むなしく感じていいのか。
    現実には二度とは戻らない時間、二人はこの笑顔を取り戻せるのか。

    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 10:04 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    「消えていくなら朝」
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      「消えていくなら朝」
      2018年8月12日 そぴあ新宮

      ずしんと重い家族の話。
      でも家族ってそうだよね。
      「家族はいいもんだ」、なんて簡単には言えない。
      家族だからわかりあえないこと、
      家族だからぶつけあってしまう毒ややっかいごと。
      それでもずっと関わっていかなきゃならない。

      女優の彼女を連れて久しぶりに帰省をした中年の劇作家。
      結婚して家をでている兄、近くで一人暮らしの妹、
      父親が母親と離婚したいと言いだしたことで久しぶりに集まった家族。
      ぎくしゃくとした会話、長年のわだかまり。
      新興宗教にはまり、息子たちまで巻き込んでのめりこんできた母親。
      こどもの頃から母親に連れまわされ母と共に宗教にのめりこんだ兄と
      宗教を否定して家をはなれた弟。
      父親は妻と息子を諦めたように娘を溺愛し、
      その期待からぬけだせず、自分の意志を失う妹。
      そして、劇作家の「この家族のことを戯曲に書きたい」という言葉が
      家族の中で新たな渦を巻く。

      主役の職業が「劇作家」であるということは
      この家族の姿はきっと蓬莱さん自身の家族の姿の投影なのだろう。
      劇中の劇作家は本を書くことをまだ迷っているラストだったけど、
      この劇中の作家が書いたのがこの作品、とうことなのか。
      ここまで赤裸々に自分の家族のことを語れるのかという重さ。
      でも、いい大人になった今だからこそ
      劇作家である蓬莱さんだからこそ
      こどもの頃からもやもやとしてきたものを
      ちゃんと「言葉」にできることの凄さよ。
      その「言葉」を持たず、ただ傷つくしかなかったこどもの頃のことを思い出して
      なんか泣いてしまった。
      いや、別にうちの母親は宗教にはまりはしなかったし、
      毒親でもないし、普通の家族なんだけど。
      「普通の家族って何?」だよね。

      劇作家・女優という仕事柄、どうしても言われる言葉。
      「お前は好きなこと仕事にしてていいねぇ」
      「いい女優さんなのに、なぜ売れてないの」とか、
      演劇人には痛い言葉の数々もあえてぶつけてくる蓬莱さん。
      「別に楽してるわけじゃないよ」とか
      「TVに出てる人だけがいい役者じゃないよ」とか
      言いたいことは沢山あるけど、呑みこむことに慣れていくのよねぇ段々と。

      ぶつけあう言葉の先に、100%の理解もないけど
      もう一緒に仲睦まじく暮らすってこともないけど
      断ちきれない何かをひきずってても
      家族は家族。

      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 09:56 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      ヒカリノオト「さよなら、サンカク。」
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        2019年2月7日 なみきスクエア

        もう、この作品に関しては正直客観的な目でみられない。
        初演時に今までにない難しい役をもらって
        今回もスタッフとして受付まわりも手伝わせてもらって
        ほとんどうちわなんだから、純粋に観客としての感想にはならないけど。

        冒頭、二組の親子が会話がだんだんと重なりあっていき
        しまいには大音量の中で明子と正輝が走り、踊るシーン。
        初見の人ならポカンとしてしまうだろうあのシーンでもう滂沱の涙。
        これから、いや、これまでの明子の身に起きたことを思って
        既に冷静ではいられない。
        明子があの5年間を思い出す時、彼女の頭の中はこんなカオスな状態なのだろうか。
        初演時は、登場人物の一人として没入しすぎて見えなかったものが
        見えてくる、というより迫ってきて
        でも鶴子としての気持ちも自分の中のどこかに残っていて
        私の頭の中もカオス状態。

        初演時と会場の広さが違うこともちゃんと生かしてた。
        あの茨で囲まれたような部屋への廊下。
        客席と舞台の距離があることも観客にとってはよかったかも。
        初演時はあの空間の閉塞感があまりに辛かったという声もあったしね。
        ちょっと俯瞰で見られたことで、
        明子以外の人物にもそれぞれの思いや立場があることがより明確になったよう。
        何よりキビるフェスという、他地域からの劇団も参加する場で
        福岡の劇団のひとつとしてこの作品が紹介されたことが嬉しい。
        ほのぼの路線の作品もあるヒカリノオトさんですが
        福岡にはあまりないタイプの芝居としてこの路線も
        推していきたいなぁ、なんて個人的な好みですけど。

        | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 22:12 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        こふく劇場「ただいま」
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          2019年2月1日 パピオビールーム
          ここちいい。
          ちゃぶ台のある懐かしい光景。
          からくり人形のような整然とした役者の動き。
          歌うような宮崎弁のイントネーション。
          すべてがここちいい。

          当たり前のような人の営み。
          出会って結婚して子供ができて年寄りが死んで。
          でもそれぞれの胸にはそれぞれの思いがあって
          それもまた当たり前のことなのに
          人はその思いを日常の中に埋めようとする。
          失くしたものへの熱い憧れ、苦い後悔、伝えきれなかった温かい思い。
          胸に渦巻く思いを抱えて
          それでも野菜を刻み、魚を焼き、日々を過ごす。
          ああ、私も生きているね。
          ていねいに生きていきたいね、と沁みていく思い。

          まるで合唱でもしているようなコロスのセリフ。
          あえてセリフと切り離したような動きの繰り返しは
          ちょっと維新派も思い出したな。
          脚本はどうなってるんだろう?とか。
          ユニゾンの美しさという意味では
          おこがましいけど、私たち月光亭の4人落語も思い浮かべた。
          人の声が重なり合うここちよさ。

          | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 14:04 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          劇団ハタチ族「10万年トランク」
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            2018年12月19日 アイアンシアター

            ひとり芝居。
            スタッフもいないほんとにひとりきりのツアー。
            あかりもひとつ。工事現場にあるような投光器一台。
            トランクひとつに収まるぐらいの小道具。
            そこにはただ「人間」がいて、
            弱さや強がりや毒や美学や
            人をめぐるもろもろの感情があって。

            「チンピラの話」
            ちょっと頭の弱いチンピラとアニキの話。
            人ってこんなにもあっけなく死ぬし、
            それでもその人の幸不幸なんて他人には決められない。
            声色、というより、しゃべり方やたたずまい、
            投光器にあたる顔の角度で使い分ける二役がみごと。

            「路上のひきこもりの話」
            ホームレスのおしゃべり。
            わかっちゃいるけどやめられない、な人の弱さが愛しいけれど
            ちょっとその弱さの上に開き直ってかっこつけすぎな気も。

            「美容師の話」
            被災地にカットボランティアに行くオネエの美容師の話。
            これが一番好きだった。
            こんな時こそ、きれいしにて、笑顔で、前を向いて。
            それは被災地の人に向ける言葉であると同時に彼女自身の信念。
            「オカマ」と差別され、石投げられても、
            きれいにして、笑顔で、前を向いて。
            3.11以降、熊本地震や、豪雨被害やいろんな災害の度に
            私たち演劇人もずっと思ってやってきたこと。
            こんな時こそ、笑いを、娯楽を。
            私たちにできることなんてそんなことくらいだしね。
            逆にこんな時に簡単に人に石を投げられる人がいることが信じられないんだけど、
            確かにそういう世の中になりつつあるのかもしれない。
            弱者がより弱いものに石を投げる時代。
            いつからそうなっちゃったんだろうね・・・


            | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 12:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            KUDAN PROJECT「真夜中の弥次さん喜多さん」
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              2018年12月8日 アイホール

              芝居だからこその嘘も
              生身の人間がそこにいるからのほんとも
              ライブ感あふれる遊び心も
              ぎゅうぎゅうに詰め込まれた密度濃い2時間。
              たった二人の登場人物、閉じられた空間が
              あそこまで広がるのは完成されたスタッフ力のたまものか。
              お伊勢参りにでかけたはずの弥次さん喜多さんは
              雨に降りこめられて宿で足踏み状態。
              延々と降り続く雨。
              堂々めぐりの会話。
              もう本当に二人が旅にでたのかも
              生きているのか死んでしまったかもわからなくなる。
              ただ二人といっしょに迷路を旅して
              またふりだしに戻るを繰り返しながら
              笑ったり、男の色気に惚れ惚れしたり、
              次々しかけられる演劇の嘘にあんぐりしたり。
              いつまでも彼らの夢につきあっていたいのに、
              パタリと本を閉じるように終わってしまう世界におもわず涙。

              貼り付ける写真をネットで探していたら
              お二人の若い時の写真を発見。
              今のあなたも好きだけど、もっと早くに出会っていたかったって
              恋する乙女のセリフだね。



              | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 12:28 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              OPUS「Nirai」
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                2019年1月25日 konya gallery

                ずるいよなぁ、みんじさんは。
                SFとして、え?これどうなってんの?
                タイムマシンもの?パラレルワールドもの?と
                どマジメに考えたくもなるけど
                いや、そんなマジにならずに、このドタバタのシチュエーションを笑えよと
                すかされてる気分にもなる。
                そのつっつきどころの微妙さがOPUSのおしゃれさでずるさなんだよなぁ。
                しかもね、これは単なる偶然だと思うけど
                OPUSの脚本はいつもちょうど自分のその時々のツボをついてくるの。
                前回は病気とか、それをどううけとめるか、伝えるかとか
                ちょっとその時の私にタイムリーすぎて、泣きすぎて困った。
                今回はね、ちょうど「このままじゃやばいやろ」と職安行ったりしてたとこに
                未来の話。観劇して帰宅したら不採用通知届いとるし(笑)。
                まぁ、芝居のどこがツボにはまるかなんてのは、
                観客側の勝手な解釈だから。
                今回の芝居でもSFとして真剣に考える人、
                ドタバタシチュエーションコメディとして楽しむ人
                「夫婦」とか「毒親」とかいろいろ思いを馳せちゃう人。
                それぞれでいいんだろなぁと思う。
                劇場じゃない場所でみるOPUSはさらに
                その自由度があがる感じがいいんだろなぁと思う。
                客席も普段劇場では見ない顔(しかもおしゃれ系・カフェ系な人々)が多い印象。


                | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 22:12 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                そめごころ「劇場のすすめ」
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                  2018年8月31日 ぽんプラザホール

                  そめごころ、あいかわらず攻めてるなぁ。
                  こんなの演劇じゃねぇと、ちゃぶ台返したりはしないけど、
                  私にはちょっともどかしかった。
                  前作「スクリーン」は冷泉荘の使い方やループ構造の話のために
                  あえてまっすぐに物語がすすむのを選ばなかった感じがするけど
                  今作は、物語になりそうでならない、ひとつになりそうでならない。
                  あえて、なのだとは思うけど私には舞台がひとつの物語として
                  成立させることから逃げてるようにもみえた。
                  まぁ、私「物語好き」だからね。好みの問題。

                  演劇をやる人たちのおはなし。
                  ひとつの公演が始まって終わる、仕込んでバラすまで。
                  実際に客席が組まれたりものが運びだされたりする
                  その合間合間、あちらこちらで小さなエピソードが展開される。
                  それは彼らの体験なのか、脚本上の虚構なのか、
                  今舞台で演じられてる物語そのものなのか。
                  女子高生同士の恋バナ、無謀な自転車旅行、
                  いつまでもこども扱いしてくる母親。
                  小さな共感のたくさんあるエピソードたちだったけど
                  その共感の持っていきどころに悩んでしまった。
                  よくも悪くもその余韻が「そめごころ」の思うツボにはまったような気もして
                  ちょっと悔しかったりもするのだが。

                  | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 21:29 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  Hall Brothers「Sour Grapes」
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                    2019年1月18日 ぽんプラザホール

                    今年の初観劇は久しぶりにぽんプラザで公演のHall Brothers。
                    抽選にはずれ続けたと嘆いていたもの、やっと当たったようでよかったね。
                    会場に入ると、こじゃれたリビングルームのようなセット。
                    こういうところを手を抜かず、とってもきれいに作っているのも
                    Hallさんらしい、好感が持てるとこ。

                    お話はあいかわらずの羨望や嫉妬・自己防衛の嵐の
                    大人のいやらしさ全開。
                    今回はPTAのお母さんと先生が中心なんだけど
                    そこにキレキレのビジネスマンや謎の占い師が混ざることで
                    噛み合わない会話のおかしさがよくでてる。
                    多分父兄と先生だけで本音でバトルしてしまったら
                    救いようのない話になったろうからね。
                    あとは、先生とお母さんの大人の恋愛話も効いてるねぇ。
                    「正論」だけではどうしようもない大人の恋愛事情には、
                    愚かさよりも「かわいげ」を感じてしまうのは、
                    私が子供を持たないからかしら。
                    そんな「かわいげ」の部分や
                    出てはこない見えない子供たちに向ける視線に
                    なんとなく、作家の幸田さんや
                    今回もお母さん役でいい味をだしていたあやちゃんの
                    親になった視点を感じて、
                    今後この劇団がどうなっていくのかを楽しみに思う。

                    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 18:03 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    2018年芝居ベスト10
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                      2018年の劇場での鑑賞本数は86本
                      お芝居だけではなく、ライブや落語・ストリップなど
                      生身の人間のパフォーマンス全般を含みます。
                      こちらも「エンゲキ係数」高すぎるから減らそう減らそうと思いながらも
                      ここ数年80本はくだらない状態。
                      さすがにこれだけ見れば、好みにあわない作品やムリしてみなくてもよかったかなの作品も
                      10本くらいはありますが、まぁ最終的には好き嫌いだからね。
                      映画だって、これは映画館じゃなくてDVDでもよかったかしら?くらいの作品にもあたることあるし。
                      「チラシが好みじゃない芝居はやっぱり作品も好みじゃない」という
                      当たり前だけど納得な法則に今さらながら気づいたので
                      今年こそは少し鑑賞本数が減るかもしれません。

                      映画と同様順位はつけずにこの10本。



                      「東京の街がゆめみる」 820製作所
                      「埋没」 トラッシュマスターズ
                        キビるフェスは社会派作品が多くて面白かった。
                        役者の一人二役がすごくきいていた2作品。
                      「彼の地供廖)牟綵7歃儼狆譽廛蹈妊紂璽
                        北九州という土地と地元の役者への愛にあふれた作品。
                        これを東京の作家が書いてくれたことの愛の深さよ。
                      「変身」 NAKASHIMAグループ
                        面白いテキストと身体の動くいい役者。
                      「クレナイのワルソウ」 南無サンダー
                        泥臭くベタだけど南無サンダー的進化を感じたので。
                      「夜に沈む太陽」 Dull-collered POP
                        どっしり重いテーマだけどちゃんとエンタメ要素があって。
                        3部作を見届けたい。
                      「消えていくなら朝」 
                        家族ってあったかくてほのぼのするものとは限らない。
                        家族ならではのしんどい思いにちゃんとむきあう姿勢。
                      「一般ヒーロー」PUYEY
                        忘れたくないこどもの頃の思い。
                        こどもたちにも大人にも響くまっすぐな心。
                      「ちっちゅうのララバイ」 いすと校舎
                        自宅劇場でしかできない、回遊型という形。
                        何気なくて愛おしい。家と家族の物語。
                      「真夜中のやじさんきたさん」KUDAN PROJECT
                        夢かうつつか、堂々巡りの迷路で永遠に迷っていたい。
                        
                      次点は今後が気になるという意味で
                      「10万年トランク」劇団ハタチ族
                        365日公演、48都市公演を遂げたのちの今年の劇場をつくる動きが気になる。
                        というかいつか行ってみたいわ、その劇場。
                      「ザ・空気 Ver2」
                        社会問題や政権批判、リアルタイムにやれるのは「演劇」が最後のメディアになるかもしれないと思った。TVや映画にはできないこと

                      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 12:28 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |