「翔んで埼玉」
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    2019年3月5日 ユナイテッドシネマももち 監督:武内英樹

    あんまり考えなくていいお気楽映画気分だったのと
    他に時間があう映画がなかったという消極的選択肢で
    なぜか観てしまった「翔んで埼玉」。
    バカだなー、本気でバカやってんなーと声出して笑えるし、
    希望通りのお気楽映画だったけど
    正直、別にスクリーンで観なくてもいいか。
    まぁ人生にはダラダラと漫画を読むような時間も必要さ。
    マンガのような映画、てか、マンガ原作だもの当たり前だよね。

    GACKTはどこまでも美しく
    男装の二階堂ふみちゃんはいじらしくかわいい。
    てか、ふみちゃんが男の子をやることでBL要素をソフトにしたのかなぁ
    なんて思ってたら、伊勢谷さんとGACKTの妄想シーンが・・・。
    正直こっちのほうが萌えましたわ(笑)。
    京本正樹と麿赤児が兄弟って「白塗り」つながりかよ!とか
    埼玉内部の戦いなんて、九州人にはわかんねーよ!とか
    ツッコミどころ満載。
    大人がくだらない(ほめてる)ことを真剣にやるのは嫌いじゃない。
    でも一番笑ったのはタイトルロールのはなわの歌かな。
    ご当地キティちゃんが犀かぶって玉乗りして「さいたま」って・・・
    埼玉のなんにもなさとキティちゃんの無節操さの両方に笑える。
    そして、埼玉県人も佐賀県人に言われたくねーよ、
    とさぞかしつっこみたかったことだろう。

    こういうおバカ映画のこってり演技ってお決まりのパターンで
    そうとしかやりようがないのはわかるけど
    芝居としてはちょっと飽きてくるよね。
    そう考えるて思い出すと同じようなマンガ原作とは言え
    「帝一の國」とかほんとよくできてたんだなと思う。
    菅田君や剛太郎さん、芝居上手い人で固めると
    こてこて芝居ばかりでも決まるもんだなと。
    いや、この映画をディスる気持ちはさらさらないけど
    やっぱり美しさだけではちょっと持たない感じもしたな

    | 立石 義江 | 映画観る日々 | 12:45 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    「教誨師」
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      2018年11月26日 KBCシネマ 監督:佐向 大

      この映画で初めて知った「教誨師」というお仕事。
      刑務所で受刑者に対して説教し、罪を悔い改める手助けをする宗教家。
      大杉さん演じる牧師佐伯は6人の死刑囚と対話する。
      てか、映画はほぼ密室での対話のみ。
      佐伯の回想シーンはあるけれど
      死刑囚がどんな事件を起こしたのかも
      会話の端々から観客は想像するしかない。
      外界とのコミュニケーションが一切ない死刑囚たちにとって
      教誨師である佐伯は唯一の話相手でもある。
      彼に心開く死刑囚もあれば、
      全く反省の色をみせない者、ただの話相手のように扱う者もいる。
      自分の無力さや言葉のむなしさに悩みながらも
      真摯に死刑囚と向き合い続ける佐伯。
      生と死と
      犯罪と社会と
      そして自分自身の過去とも向き合い続ける佐伯の姿は
      役者としての大杉さんの姿とも重なってくる。
      「演じる」ということはそういうことなのかもしれないなと思った。
      自分の演じる人物にとことん向き合うこと、
      自分の過去や自分の中にある触れたくない部分にも向きあうこと。
      「宗教」というより大杉さんの役者としての哲学みたいなものに
      触れた気がした映画だった。
      宗教を通じて人と向き合うのが教誨師さんだとしたら、
      私たち演劇人(と言う言葉が適切かはわからないけど)は
      「演劇」を通じて人と向き合い、
      社会や人生と向き合おうとしているのかも知れないな。
      この映画とは関係ないけど、鴻上さんの人生相談を思い出した。
      本当に相談者の気持ちに寄り添って、さらにそのひとつ先の、
      相談者自信がうまく言葉にできない部分までふみこんで、
      しかもそれをきちんと言葉にしていく彼の回答はいつもおみごと。
      「演劇」ととことん向き合ってきた鴻上さんだからこその言葉なのだろうと
      思っていたこととこの教誨師というお仕事が重なった。
      本当の宗教家の人からは怒られるかもしれない感想だけど。

      死刑囚を演じる役者さんの一人に
      監督の友人である素人さん、というと失礼だけど
      本当に普通の寝具屋さんの男性がいて、
      ごくごく普通の人が「死刑囚」という特別な人間になってしまう、
      そのことが怖ろしくもリアル。
      いや、もちろん6人の死刑囚の役者さんはみんなよかった。
      玉置玲央君は「人殺しの目」をしていたし、
      彼が映画初出演にして、この役で毎日映画コンクールの新人賞をとったことは
      とてもうれしい。
      舞台役者であった大杉さんからバトンを渡されたような賞をもらって
      ますます活躍の場を広げていくんだろうと。

      | 立石 義江 | 映画観る日々 | 14:26 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      「メリー・ポピンズ・リターンズ」
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        2019年2月15日 中洲大洋 監督:ロブ・マーシャル

        面白くなかった、わけじゃないのよね。
        前作は未見だけど、あの時代の王道なミュージカル映画のつくり。
        点灯夫のダンスとかほんと心ときめいた。
        地味なかっこだけどみんなイケメンだし。
        エミリー・ブラントはまさにパーフェクト。
        「オール・ユー・ニード・イズ・キル」や
        「ボーダーライン」のイメージがあったから
        エレガントかつ厳格、ツンデレな彼女にはちょっとびっくりした。
        子供たちもちょーぜつかわいい。
        メリーが歌ってくれた唄を
        今度はお父さんのマイケルに歌ってあげるシーンたまらん。
        一番のお気に入りは衣装。
        レトロなデザインの
        ヨーロッパらしい色のきれいな衣装。
        空想の世界の中にまぎれこんだ時のキャンディみたいな色合い。
        ラストの公園のシーンのジェーンの衣装とか
        そのまんま着たい。
        音楽もエピソードも、前作のファンならば
        もっともっとディテイルまで楽しめるに違いない。

        で、私はのれなかったのである。
        というか、一気に冷めたのである。
        それもクライマックスで。

        返済期限の真夜中までにと車を走らす父。
        子ども達とメリー・ポピンズは点灯夫たちを引き連れ
        ビッグ・ベンの針を遅らせてせめて5分の時間稼ぎをしようとするシーン。
        ロンドンという街ならではの心ときめくしかけのはずなんだけれど。
        点灯夫達は、商売道具のはしごを駆使し、知恵をめぐらせ
        ようやくビッグ・ベンの時計の中までたどり着く。
        でも、どうしても針に到達する手段がない。
        さぁ、どうする?絶対絶命・・・
        ここでメリー・ポピンズが傘で空中に舞うおなじみの姿で登場、
        すんでのところで針を5分遅らせ、一家は窮地をぬけだす。
        点灯夫たちも、子供たちもメリーに大喝采。
        だけど、私の気持ちはえー!!と一気に冷める。
        じゃあ最初から傘で飛べよ!点灯夫たちの努力は何だったんだよ!!

        無事に株券を貼った凧を頭取の前にさしだし、
        パズルのようにバラバラになった株券を並べなおすが
        どうしても1ピースみつからない。
        サインのある肝心の場所がなければ無効と言われ、家族は再び窮地にたつ。
        ここで救いの神とばかりに登場するのが、前作にも登場した前の頭取。
        えー、またこのパターンかよ。
        こういう唐突などんでん返しされると覚めるんだよねぇ。
        しかも、何でマイケルは株券の裏に家族の絵を描いたの?
        昔のこととはいえ、3人の子どもがいる立派な大人なすることとは思えない。
        しかも、株券を探している最中に、裏に落書きがあるからって捨てますかね。
        なんかお話がご都合主義。
        メリー・ポピンズだから、ハッピーエンドじゃなきゃとか
        細かいこと言うな、とか言われそうだけど
        メリーや点灯夫のジャックの存在などファンタジーな部分があるからこそ、
        こういうとこ雑にやっちゃいけないんじゃないかしら?
        まぁ、私は父マイケルのようには子供の心を取り返せなかったってことでいいですけど。
        えぇえぇ、大人ですから。



        | 立石 義江 | 映画観る日々 | 12:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        「シェイプ・オブ・ウォーター」
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          2018年3月5日 中洲大洋 監督:ギジェルモ・デル・トロ

          なべにおとされたゆでたまご。
          バスタブにあふれる水。
          想像をかきたてる彼女の吐息とゆれる水面。
          のっけからタイトル通りの「水」の美しさに心奪われる。
          乱暴な言い方をすれば
          「グロテスクな半魚人」と「お掃除のおばちゃん」の恋物語。
          なのに、これはメルヘン。
          人魚姫。
          男女を逆転した人魚姫のようでもあり、
          言葉を失くし人の世界でひっそり生きていた人魚姫を迎えにきた
          人魚の王子さまの話のようでもある。
          だって、グロテストな鱗の奥の王子の瞳はあんなにつぶらで、
          お掃除おばさんの制服を脱いだ姫の身体はあんなにも少女のよう。
          バスルームを水で満たして抱き合うシーンが大好き。
          その翌朝のガールズトーク(?)も。
          水びたしになったイライザの部屋の階下はレトロな映画館で
          まさに、レトロな中洲大洋のメインホールでこの映画を観られたのも幸せだった。
          緑色のキーライムパイはちっとも美味しそうじゃなかったけど
          ジャイルズのせつない思いに共感して1ヶくらいならおつきあいして食べてもいいかな。




          | 立石 義江 | 映画観る日々 | 18:14 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          「めんたいぴりり」
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            2019年1月16日 中洲大洋 監督:江口カン

            別に実話だから偉い、なんて普段は絶対思わないんだけどな。
            主人公のモデルが知ってる人、ではないけどよく知ってる人の身内となると
            やっぱりちょっと話が違ってくるよね。
            いや、博多名物めんたいこの生みの親の川原氏と言えば
            福岡の人の誰もが「知ってる人」な感じを持つだろう。
            その人物をやっぱり福岡の人がよく「知ってる」博多華丸さんが
            演じるんだから応援しないわけにはいかないでしょう。
            何しろ、福岡の人はうざいくらいに福岡自慢が大好きなので
            福岡から全国区になった「めんたいこ」も「博多華丸・大吉」も
            ものすごく誇りにしてるし自慢したいのだ。

            だからちょっと映画としての評価がわかんなくなる部分もある。
            初めにドラマありきだったせいか、お話も小さなエピソードの積み重ねで
            TV的とも言えるし、
            主役の華丸さんの芝居がやっぱり、TVや舞台ならともかくってとこもあるし。
            スケソウダラさん初め、彼を囲むキャラクターのコミカルさも
            ドラマで「このキャラありき」で観てる人にはともかく
            いきなり映画で観た人についていけるのだろうかとも思うし。

            でももうそこは、博多新喜劇と割り切って楽しんでほしい。
            明太子の特許をとらずに誰にでもつくれるようにしたのも、
            福岡の文化には惜しまずお金をだしてくれるのも、
            本当に事実に基づいていて、だからやっぱり
            あの愛されるキャラ、華丸さんが演じるのが正解だと思うから。
            あとね、「華丸・大吉」ファンには映画の中の二人の関係が
            実際の二人もあんなかなぁとニヤリとする感じもみどころ。
            そういう意味ではスケソウダラさんも大吉さん以外には
            考えられないんだよねぇ。

            とりあえず映画を観たあとはめんたいこが食べたくなる。
            普段は米の汁のほうが好きな私も
            炊きたてご飯にめんたいこがほしくなる。
            ここはスーパーではなくて「ふくや」いや、「ふくのや」のめんたいこ
            買いに行くかな、やっぱり。

            | 立石 義江 | 映画観る日々 | 23:40 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            2018年映画ベスト10
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              2018年の映画館での鑑賞本数は58本
              バーフバリ3回、カメ止め2回、ボヘミアンラプソディ3回と複数回みた映画もあるので
              実質は53本。
              昨年が入院があっても70本(まぁ入院期間に外泊して映画みたりしたからね)。
              その前は82本だったのを考えるとだいぶ減りました。
              まぁ減らさな身がもたんな、と意図的にそうしたってのもありますが。
              で、順位はつけずにこの10本、という選び方。
              「バーフバリ 王の生還」
              「セブンシスターズ」
              「スリービルボーズ」
              「シェイプ・オブ・ウォーター」
              「万引き家族」
              「カメラを止めるな」
              「バトルオブセクシーズ」
              「寝ても覚めても」
              「ボヘミアン・ラプソディ」
              「聖なる鹿殺し」

              順位はつけず、と言いながらやっぱり「バーフバリ」と「ボヘミアン・ラプソディ」はダントツ。
              圧倒的な映像・音、もちろんお話。
              映画を観る楽しみとカタルシスがつまってる。
              「ボヘミアン・ラプソディ」がゴールデングローブをとりましたけど
              賞レースと的な観点だとやっぱり「スリービルボーズ」と「シェイプ・オブ・ウォーター」。
              うまいなぁとうなる脚本、うっとりする水の景色。
              「カメラを止めるな」は私にとっては小劇場演劇をみているようで、
              別ジャンルという気もしますが、やっぱりおさえておきましょう。
              映画や芝居をこころざすものにとっての夢でもありますし。
              多くの人がいれそうな「グレイテストショーマン」は私の琴線には触れず。
              「ラ・ラ・ランド」の時と似たような感じで誰にも共感できないかった。
              逆に「バトル・オブ・セクシーズ」は一般的に佳作ぐらいの作品だと思いますが
              私の琴線にふれまくりでした。
              「セブンシスターズ」や「聖なる鹿殺し」のような
              近未来のありえない設定や不思議な世界観にすっとはいらせてくれる映画は大好き。
              芝居でいうとイキウメの前川さんの世界に近いかも。
              「万引き家族」は樹木希林さんと安藤さくらの圧倒的女優力。
              「寝ても覚めても」、甘くて苦い記憶をたどるような恋愛映画。
              たくさん泣いたし心が揺れた。
              次点としては「ウインド・リバー」「ブリグズリー・ベア」あたりかな。

              | 立石 義江 | 映画観る日々 | 07:28 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              「A GHOST STORY」
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                2018年12月12日 KBCシネマ 監督:デビット・ロウリー

                そうか、幽霊は「人」ではなくて「場所」につくのか。
                だから私は幽霊に会えないのか・・・

                怖い映画は苦手だ。
                GHOSTの話と言っても、予告編を観て怖いわけではなさそうだなと思って見に行った。
                幽霊ものと思って観に行ったら、実はタイムシフトもので、
                でも結局ファンタジーだった、みたいな不思議な映画。
                その不思議さが好きな人もいそうだけど
                謎も多いし、つっこみどころも多い。

                お話はなんちゃない。
                引っ越しを控えていた若いカップル。
                事故で突然死んでしまう男。
                男は幽霊となり、女を見守る。
                女が引っ越したあともずっとその家で待っている。
                住人がかわり、やがて家も朽ちて壊されてしまっても・・・

                まず、人によってはここでどんびきしそうな幽霊のビジュアル。
                欧米の子どもが絵に書きそうなシーツかぶっただけの単純な姿。
                これは私には逆に好感度だったけど。
                なんか、滑稽でその分少しもの哀しいルックス。
                幽霊が何ができて何ができないかの「ルール」みたいなのについては
                ちょっとつっこみどころありだなぁ。
                お皿をしっかり握ったり、電球の点滅を操れるのに
                あの手紙をつまむことはできなかったり。
                「時間」を超えてしまうことについても「それ、ありなの?」という不思議な設定。
                幽霊が生きていた頃の自分を見ているって、なんか矛盾する気がする。
                まぁこのシーンが一番せつなくて一番素敵なシーンだったりするんだけどね。
                ルーニー・マーラーは「キャロル」の時もそうだったけど
                美しければ美しいほど哀しいね。
                いや、逆かな。
                哀しければ哀しいほど美しい人だね。


                | 立石 義江 | 映画観る日々 | 22:48 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                「若おかみは小学生」
                0
                  2018年11月29日 ユナイテッドシネマももち 監督:高坂希太郎

                  アニメはめったに観ない私ですが、特にこの手の絵は苦手でねぇ。
                  評判よくてじわじわロングランしてる噂を聞いて気になってたけど
                  一日一回真昼間の上映ではねぇ・・・と諦めていたら
                  オープンしたばかりのユナイテッドシネマももちでレイトショー。
                  うちからチャリで5分の映画館が復活した記念に観てきたけど・・・

                  私ははいりこめんかった。
                  がんばらせすぎでしょ。
                  いや、小学生があんなに働くなんてどうなの?
                  とかという野暮なことを言うつもりではなくて、
                  気持ち的にね。
                  親を亡くしたばかりの小学生の女の子に
                  あんなにがんばらせんでもいいでしょう。
                  確かに脚本的には
                  同じように母親をなくしたばかりの少年と出会って戸惑ったり、
                  親をなくす事故の原因となった運転手に会って心折れたり
                  いろんな葛藤もあるし、助けてくれる人もいる。
                  でも結局、おっこ自身がすごく「頑張って頑張って」乗り越える。
                  もう私にはその頑張りが痛々しくしか見えないし、
                  大人がこんなに「大人にとって都合のいいこども」のアニメをつくって
                  こどもに見せるってどうなんかなぁとしか見えなかったよ。
                  原作はシリーズものなので、
                  もっといろんな過程があったことを凝縮しちゃったからなのかもしれないけど。
                  文科省選定作品やらなんやらの冠がついてるけど
                  こどもたちがこの映画観て「感動した」とか「泣きました」とか
                  感想文書いてるなんて想像したらちょっと辛いなぁ。
                  まぁ私がこどもの頃見てたら
                  「おっこの頑張りに感動しました。私も頑張ります。」なんてちゃっかり
                  書いてるとは思うけどね。
                  『「大人に都合のいいこども」のふりをするのが上手なこども』だったからね。
                  今のこどももそのくらいちゃっかりしてるといいな、とは思うけど
                  ともすると、こどもの頃こういう映画観て
                  やたらと「泣ける」映画をほめる大人が量産されるのかも、なんて心配してしまうわ。


                  | 立石 義江 | 映画観る日々 | 20:32 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  「日々是好日」
                  0
                    2018年11月28日 KBCシネマ 監督:大森立嗣

                    「お茶って変。」
                    お茶を習い始めたばかりの大学生の典子といとこの美智子。
                    初めてのお稽古で美智子が発したこのセリフは
                    まさに観客側の、少なくとも私の気持ちを代弁してる。
                    とことん型にこだわる姿こそが茶道の美学なんだろうけど
                    傍からみると、意味のわからない動きの連続。

                    様々な人生の節目を超えながら
                    いつもそこにお茶があった典子の半生。
                    厳密な型にのっとったお茶のお作法。
                    庭から伺いしれる四季の風情。
                    床の間の花と掛け軸。
                    季節を映した美しい和菓子。
                    なるほど茶道の美学ってこういうことかぁ、ふんふん
                    と、うなずけるようにはなっていくのだけど
                    どうも私は最後まで「変」ってところから抜け出せなかったな。
                    確かに所作が美しいのはわかるのだけど、
                    「お茶の天才」なんて言われてもどこがどうすごいのか
                    ちっともわかんなかったし。
                    極力ドラマを排して淡々とお茶のお稽古の様子を描く
                    ってことなんだろうけど
                    そのドラマ部分があまりにありきたりだったのも
                    なんだかなぁだった。
                    親友の結婚。
                    恋人の裏切りによる失恋。
                    父との別れとそこにのこる罪悪感。
                    確かに多くの人が似たような体験をし、
                    共感しやすいところばかりだけど
                    お父さんの死亡フラグとかちょっとわかりやすすぎで
                    ドラマ部分が安っぽくなっちゃたような。
                    キャスティングの勝利ってのはあるかもしれない。
                    黒木華と多部未華子の対照的な地味顔と派手顔。
                    20代から45才までを演じる黒木華の
                    顔立ちはかわらないのに、時代を映すファッションや
                    和服の着こなしのうつりかわりで感じる年齢。
                    何より、この人に1500円払ったのよ、の樹木希林。
                    お父さんが死んだあとの典子に寄り添う樹木希林の絵は
                    こんな人が自分の人生の味方になってくれたら最強だなぁと思った。
                    こうして映像の中とは言え、存在感ある彼女の姿をみていると
                    亡くなったことに実感がわかないし、
                    ずっと映画の中で生きていくのだからそれも当然のことなのだろう。
                    私は一期一会だからこその舞台が大好きなのだけれど、映像の役者さんが
                    ちょっとうらやましくなった。

                    | 立石 義江 | 映画観る日々 | 13:10 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    「バッド・ジーニアス」
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                      2018年11月13日 KBCシネマ 監督:ナタウット・プーンピリヤ

                      前編ハラハラドキドキのクライムムービー。
                      ここでの犯罪=カンニングなわけだけど、
                      たかがカンニングとあなどるなかれ。
                      国際的な試験を、厳重な警備をすりぬけ、
                      国境まで超えて大規模にやっちゃう。
                      もちろん動くお金も大金。
                      その才能をもっと違う形に使えよ、とか
                      カンニングで大学に入ってその先はどうするの?とか
                      つっこみどころは沢山あるけど
                      それも含めてタイの若者の今ってことなんだろうなぁ。
                      クールなリンともともとマジメなバンクのでこぼこコンビ感、
                      美人で女優志望のグレースと金持ちボンクラ息子パットのバカップルぶりが
                      青春映画らしくていいよね。
                      リンとグレースが全然違うタイプだけど
                      多分ないものネダリ的にお互いのことを大事に思ってるっていうのも。

                      クライムムービーの面白さって
                      犯罪が成功した時の痛快感だと思う。
                      いかにアイデアやテクニックを駆使して犯罪を成功させるか、
                      しかもその犯罪で被害をこうむる人に同情しなくていい仕掛けがしてあるか。
                      この映画は残念ながら、すべての仕掛けは成功しないし、
                      あとには苦い味が残る。
                      それでも希望の残るラストになったのは
                      やっぱり若さゆえ、青春映画ゆえかな。
                      そう、なんとかなるよ。

                      こういう映画ができる背景には
                      タイの格差社会、そこから生じる教育格差みたいなものが
                      あるんだろうねぇ。
                      それにしては、金持ちの息子がボンクラで
                      母子家庭・父子家庭の子が天才というステレオタイプの設定は
                      どうなんだろう。
                      今の日本もそうだけど、実際は
                      勉強にお金と時間をかけられる余裕の差がそのまま学力の差となって
                      金持ちの子の方がいい成績をとったりするんだろうけどなぁ。
                      その現実はせつなすぎて、面白い映画にはならないよねぇ。


                      しょうがないか。


                      | 立石 義江 | 映画観る日々 | 17:51 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |