「教誨師」
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    2018年11月26日 KBCシネマ 監督:佐向 大

    この映画で初めて知った「教誨師」というお仕事。
    刑務所で受刑者に対して説教し、罪を悔い改める手助けをする宗教家。
    大杉さん演じる牧師佐伯は6人の死刑囚と対話する。
    てか、映画はほぼ密室での対話のみ。
    佐伯の回想シーンはあるけれど
    死刑囚がどんな事件を起こしたのかも
    会話の端々から観客は想像するしかない。
    外界とのコミュニケーションが一切ない死刑囚たちにとって
    教誨師である佐伯は唯一の話相手でもある。
    彼に心開く死刑囚もあれば、
    全く反省の色をみせない者、ただの話相手のように扱う者もいる。
    自分の無力さや言葉のむなしさに悩みながらも
    真摯に死刑囚と向き合い続ける佐伯。
    生と死と
    犯罪と社会と
    そして自分自身の過去とも向き合い続ける佐伯の姿は
    役者としての大杉さんの姿とも重なってくる。
    「演じる」ということはそういうことなのかもしれないなと思った。
    自分の演じる人物にとことん向き合うこと、
    自分の過去や自分の中にある触れたくない部分にも向きあうこと。
    「宗教」というより大杉さんの役者としての哲学みたいなものに
    触れた気がした映画だった。
    宗教を通じて人と向き合うのが教誨師さんだとしたら、
    私たち演劇人(と言う言葉が適切かはわからないけど)は
    「演劇」を通じて人と向き合い、
    社会や人生と向き合おうとしているのかも知れないな。
    この映画とは関係ないけど、鴻上さんの人生相談を思い出した。
    本当に相談者の気持ちに寄り添って、さらにそのひとつ先の、
    相談者自信がうまく言葉にできない部分までふみこんで、
    しかもそれをきちんと言葉にしていく彼の回答はいつもおみごと。
    「演劇」ととことん向き合ってきた鴻上さんだからこその言葉なのだろうと
    思っていたこととこの教誨師というお仕事が重なった。
    本当の宗教家の人からは怒られるかもしれない感想だけど。

    死刑囚を演じる役者さんの一人に
    監督の友人である素人さん、というと失礼だけど
    本当に普通の寝具屋さんの男性がいて、
    ごくごく普通の人が「死刑囚」という特別な人間になってしまう、
    そのことが怖ろしくもリアル。
    いや、もちろん6人の死刑囚の役者さんはみんなよかった。
    玉置玲央君は「人殺しの目」をしていたし、
    彼が映画初出演にして、この役で毎日映画コンクールの新人賞をとったことは
    とてもうれしい。
    舞台役者であった大杉さんからバトンを渡されたような賞をもらって
    ますます活躍の場を広げていくんだろうと。

    | 立石 義江 | 映画観る日々 | 14:26 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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