ヒカリノオト「瞬く間に、春」
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    2017年7月28日 冷泉荘

    松岡君はロマンチストだなぁ。
    音楽の夢を追いながら年齢を重ねた男。
    ダメ男を応援し続ける女。
    彼女のいない部屋からの引っ越し。
    女優を目指す自分の夢に迷う若い女。
    二人の女性の過去の意外なつながり。
    もう男のロマンの香りがぷんぷんだ。
    そのくせ、自分自身の役は
    ちょっと彼らをスカすようなところがあって
    ツンデレな要素がたっぷり。
    ロマンチストなくせに照れ屋さんって
    私の大好物要素満載じゃないか(笑)?

    そりゃあつっこみどころはたくさんある。
    あんな都合のいい女はいないよ、ちょっと理想化しすぎでしょう?とかね。
    音楽の夢を追いかけながらも、
    その情熱も失い、半ば惰性でアルバイト生活を続ける男。
    作家や演じてる役者本人にもイタいくらいに
    演劇界にもいそうなダメンズをあんなにしっかりもののいい女が、って
    できすぎでしょう。
    いや、それはそれでありそうなんだけど、
    そういうダメンズにはまる女には
    それ相応の弱さやダメさがあるわけで。
    そこを理想の女性にしてしまうところは
    やっぱり若いなぁ、なんて。
    あとね。ミュージシャン役の役者がギター弾いたり
    歌唄ったりはなかなか難しいよね。
    練習したとは言え、そこはやっぱり役者。
    うまく錯覚させる見せ方というか切り取り方は考えないと
    音楽好きな観客は醒めてしまうかも。


    とは言え、彼女とこの部屋に引っ越してきたあの日と
    彼女のいない部屋から引っ越そうとしている今日と。
    過去と未来を交差させながら緻密に積み上げられていく会話は
    なかなかに響くものがあって
    あの冷泉荘の狭い空間に積み上げられた生活感ある荷物が
    最後には空っぽの部屋になるしかけも含めて
    よくできているなぁと。
    今まで私の中で福岡の二大ロマンチスト作家は
    あなピグモ捕獲団福永氏とクロックアップサイリックス川原氏だったんだけど
    三人目のロマンチスト作家は松岡君で決まりだな。
    まだそんなに大きくはないけど、そのうち大きくなるかしら、いろんな意味で。


    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 23:57 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    宇都宮企画「あした、雨がふったなら」
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      2017年7月9日 engel

      街と結びついた物語が好きだ。
      所属していた劇団でそういうお話ばかりやっていたからかも知れないし
      もともと旅好きだからかもしれない。
      旅に出るとその街の物語を読みたくなるし。
      この作品はもっとピンポイントに
      会場である「engel」というカフェ
      その建物そのものの記憶をたぐるような物語。

      生活感あふれる鉄工所だった建物が
      居酒屋、レコード屋、アトリエと移り変わり
      そこに集う人の人生と重なり、また離れていく。
      新たに生まれた不思議な生き物、
      記憶の精のようなもの?
      いや、もしかしたらその地に生まれたネコか?
      がその歴史をたどっていく時間の旅。
      宗教チックなシュールな展開をはさみながらも
      一貫して流れる、そこで過ごした人への敬意や温かい目線。
      窓の外から聞こえてくる電車の通過音までが
      この場所ならではのBGMに聞こえて愛おしくなる。

      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 08:52 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      HANARO PROJECT「セレモニー」
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        2017年7月1日 あじびホール

        国際結婚。
        韓国人のバツイチ花婿と日本人の花嫁の結婚式が船上で行われようとしている。
        違う土地、違う文化で育った二人が結婚するってのは
        二人の気持ちだけではどうにもならぬ部分もあって
        次から次へと起こるトラブル。
        果たして結婚式は無事に終わるのか。

        HANARO PROJECTという
        日本と韓国の演劇を通しての交流プロジェクト自体が
        この結婚式と重なってくる。
        文化の違いや温度差。
        演劇が好きだけでは埋められないものもあるだろう。
        それでも、戯曲の交換や同じ戯曲の同時上映などの試みを経て
        今回はやっと共にひとつの作品をつくった。
        それはこの若い二人の結婚式のシーンと重なって
        希望や決意を感じさせてくれた。

        結婚を巡る家族の距離感の違いが面白かった。
        韓国チームの家族の重みや
        ちょっと韓流ドラマをにおわす恋愛観。
        韓国のお母さんはやっぱり迫力満点。
        日本の父のちょっと哀愁漂う感じと対照的なのも
        らしいよね。


        | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 14:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |