モノモース「エンドルフィン」
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    2017年5月28日 こまばアゴラ劇場

    正直きつかった。でも不思議と早く終わって欲しいとは思わなかった。
    彼が、食べて、生きて、語っている姿をもっと見ていたかった。
    どんな過酷な状況であっても生き続けてほしかった。
    生きることが、
    彼が何度も叫ぶ「俺はごみじゃない」という言葉の証になると思ったから。
    もちろん、私がただただ玲央君が見ていたかったというのも大きいけれど。

    ごみの島にモノのように捨てられてしまった少年と
    同じように捨てられた少女。
    少年の吹き込んだカセットテープを
    聞いている会議室の中の大人たち。
    そうでなくても壮絶な彼らの闘いが
    冷ややかにその利用価値を考える大人の存在で
    なおいっそう生々しく哀しくなる。
    一人芝居フェスで出会ったという3人の役者さんはそれぞれに
    すばらしい。
    大塚さんの怖ろしいまでの落ち着きと冷血。
    陽子さんの本当に少女のような無垢な表情。
    なにより玲央君のしぼりだすような生への執着。

    この戯曲がある小説を下敷きに作られたこと、
    それをクレジットしなかったことでの盗作疑惑など
    せっかくの3人の旗揚げ公演に残念な評判が残ってしまったのは
    ほんとにつらいこと。
    でも、払い戻しなどの最大限のカバーをしたこと
    小説ではない「演劇作品」としてひとつの世界をたちあげていたこと
    がきちんと評価されたらいいな、と願ってやまない。



    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 17:13 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    イキウメ「天の敵」
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      2017年5月27日 東京芸術劇場シアターイースト

      生きることは食べること。
      でも「生きたい」と「食べたい」が矛盾してしまったらどうなってしまうんだろう。
      日ごろから「食べたいものを食べ、飲みたいものが飲める」人生が一番幸せだと
      思っている私には、とてももやもやとした思い、いや、不快な感情とかではないのだけど
      なんとも結論をだせないもやっとした気持ちで終わった観劇だった。

      究極の食べ物を目指して「飲血」にたどりついた男。
      永遠の若さと命を手に入れてしまった男の告白を
      不治の病にかかった男が聞くという皮肉。
      120年かわらぬ風貌のまま生きてきたという男の語る不老不死の人生。

      人の血を吸う・不老不死・日の光に弱い、というと
      一番に思い浮かべるのは吸血鬼だが
      不思議と芝居を見ている間は思いうかばなかった。
      この「飲血」にたどりついた男が
      「食べる」ことや「日光」を望んでいたからだろうか。
      私は人の血を飲みながら生きることの
      道徳的な心の負い目や、老いないことの不都合などより
      何よりも日の光や「食べ物」の大切さにこだわっているようにみえた。

      一人の男の告白、回想シーン中心の芝居だというのに
      少しも飽きずにその不思議世界に身をゆだねられるのは
      私の大好きな前川ワールド。
      浜田さんは、ちょっと人間ぽくないところがあって(失礼w)
      こういう不思議な設定にも説得力を与えてくれるんだよなぁ。

      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 21:57 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      14+「双面の王」
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        2017年6月28日 ぽんプラザホール

        ちょっと期待と違った。
        あのチラシの感じやギリシャ悲劇が下敷きになるってことで
        重くてドロドロした重厚な作品を期待してた。
        TVスタジオのようなあの白い部屋。
        近親相姦も人の死もどこか軽い。
        確かにシェイクスピアもギリシャ悲劇も
        ぞろぞろ人が死ぬけど、どっちかというと韓流ドラマのようだった。
        演劇的というよりTV的?
        その違いを自分でもうまく説明できないけど。
        ひとつにはちょっとセリフや後出しでの説明が多いとこかな。
        どんでん返しが後出しじゃんけんぽくて、ちょっと乗り損ねた。

        でも、達者な役者さん達がそろってて
        わかりやすくどんでん返し、それも二転三転としていくことで
        面白かったという評判を否定するつもりもなくて。
        韓国や中国の役者さん達と一緒にやることも含めて
        この劇団ならではの独自のスタイルができつつあるのかなーと。
        北九州で開催された「劇トツ」の時もかなりとがったチャレンジャーな内容で
        その前の「サンゲツキ」はミュージカル。
        振れ幅をどんと広げた劇団なのに、「あぁ14+だなぁ」と
        なんか納得してしまう、スタイル決めない独自のスタイル。
        この納得感は演出家さとさんの味つけなのか、役者の安定感なのか。
        福岡の劇団の中でもどことも似ない路線を走ってる。
        そういう意味では改名前の劇団名のほうが言い得て妙だったかも。
        爆走蝸牛。

        | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 22:34 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |