「THE BEATLES 8days a week」
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    10月20日 天神TOHO 監督:ロン・ハワード

    ビートルズなら知ってるよ、って思ってた。
    でもここには私の知らないビートルズがいた。
    だって、私が中学生になって
    FMラジオから聞こえてくる洋楽に興味持ち始めた頃には
    ビートルズはもうとっくに解散して
    その多くの曲をスタンダード、というかもうクラシックとして
    聞いていたわけだから。
    私の中のビートルズは伝説だし、
    ソロで活動していたジョンやポールも大物アーティストという認識。
    でもここには、生意気な若造で、野心家で
    眩しいほどのアイドルだったビートルズがいて、
    それは伝説のひとつとして聞いたことはあったけど
    すごく新鮮な感覚。
    そして実際アイドルとしての彼らは想像以上にキュート。


    音楽を志した若者たちが
    スターへの道を駆け上っていって
    自分達も想像していなかったほどの高みまでのぼって
    やがて、その高さにまつわりつく痛みも覚えていく。
    まるで青春映画だけど、それはまぎれもなく実在した彼らの物語。
    自分達の演奏する音さえ聞こえないほどの歓声の中で歌う
    彼らの気持ちはどんなだったのだろう。
    まぶしくて、でもどこかいたいたしい映画だった。

    | 立石 義江 | 観る日々 | 12:51 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    「ハートビート」
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      10月26日 KBCシネマ 監督:マイケル・ダミアン

      ダンス映画には点が甘いんだよな、私。
      「ダーティーダンシング」みたいなロマンチックなものから
      「フォーエバーフィーバー」みたいなおバカなものまで。
      自分が踊りたくなるようなはずむ音楽と
      感情移入できるキュートな主人公がいたら
      もうそれだけで合格点。
      いや、さすがにこれはクラシックバレエがベースなので
      踊りたい、とはならなかったけど。

      憧れのニューヨークの芸術学校に入学したダンサーのルビー。
      厳しい先生、気のいいルームメイト、
      どこか影のあるバイオリニストジョニーとの出会い。
      王道の青春ものだけど、
      とにかくバイオリン、ヒップホップ、クラシックバレエと異種格闘技の
      ダンスシーンがみごと。
      お話としてはなんちゃないし、
      ルームメイトの堕落と更生がどちらもすごく早かったり
      突然「別人のよう」って先生からほめられたり
      つっこみどころもたくさんあるんだけどね。
      スイッチステップスのワイルドなダンス、ルビーの華麗なバレエ、しかもバイオリニストは超キュート。ライバルのイケメンバイオリニストが絵に描いたようにイヤな奴で
      そのくせ、最後にちゃんとエール送ってくるあたりも青春映画王道でニヤリとするね。
      見ててワクワクするってことは
      もうそれだけでいい映画ってことでOKだよね。



      | 立石 義江 | 観る日々 | 08:19 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      「石川五右衛門」
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        11月12日   博多座

        とことんエンターテイメントに徹して、
        かぶきにかぶいてる歌舞伎作品。
        石川五右衛門と言えばこれ!
        という華やかな楼門五三桐の「絶景かな」から
        中国へ遠征しての大立ち回り。
        まさかのねぶた祭りまで。
        博多座の舞台機構フル活用の派手な舞台転換から
        歌舞伎独特の海や波の表現、と
        みどころたくさんな分だけ
        ちょっとはしょりすぎでしょってとこも。
        え、なんで?なんで親子?
        なんで中国?みたいなね。
        もうこの際、なんで?は禁句にして
        口をぽっかーんとあけて
        派手なエンタメ、サービス精神をたっぷり受け取るのが
        正しい見方だな。
        なんと言っても海老蔵も獅童もやっぱりいい男なんだよなー。
        まぁ私は3階席だからオペラグラスごしではあるけど
        グラスはずして遠目に見てもやっぱりいい男なのは
        歌舞伎役者独特の立ち姿の美しさとか
        型の決まり具合とかなんだろうなぁ。

        それにしても今年博多座で見た歌舞伎は
        スーパー歌舞伎ワンピースからのこの石川五右衛門。
        どちらかというと新しい、エンタメをつめこんだ歌舞伎が続いたので
        そろそろしっかりとした通し狂言がみたい。
        今まで博多座で見た歌舞伎で一番好きなのは「小笠原騒動」。
        やっぱり「芝居」部分が面白い歌舞伎が好きなんだよなぁ。
        来年2月の猿之助さんの登場に期待がかかります。


        | 立石 義江 | 観る日々 | 00:40 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        「怒り」
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          10月18日 ユナイテッドシネマキャナルシティ13 監督:李相日

          怒りというタイトル。
          予告編ではショッキングな事件現場のシーンや
          泣く俳優の姿。
          でも、全編に流れるのは想像したよりずっと静かな感情。
          静かで、でも確かに激しい感情。

          差別や偏見にさらされて来た人の静かな怒りや悲しみ。
          人を信じる・信じない、裏切る・裏切られる
          真実がどこにあれ、クラリと覆される人の心の弱さ。
          自分を信じ、許すことのむずかしさ。
          溢れる感情を爆発させる者、静かに抑える者・・・
          そしてその感情を表す役者たちがまた見事で
          心の中のなんだかよくわからない部分をゆすぶられる感じ。


          東京・沖縄・千葉。
          3つの場所に現れた素性の不確かな男。
          殺人事件の犯人を巡るサスペンス的な要素もあるけれど
          犯人捜しに終わらない
          とにかく丁寧に丁寧に人の気持ちを
          弱い人、弱い心のぎりぎりを描いてる。
          決してカタルシスは得られないけど、
          少しだけ「人を信じる」ことに希望が持てるラストでよかった。

          | 立石 義江 | 観る日々 | 01:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          「演出家だらけの青木さんちの奥さん」
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            10月29日   北九州芸術劇場小劇場

            悔しいけどやっぱり面白いんだよな。
            「青木さんちの奥さん」。
            ひとつひとつのネタはゆるくても
            いや、ともすれば少々はずしても
            お互いのツッコミやフォローで
            笑えるようにできてる。
            もちろん、演者が達者だからというのは当然だけど。
            でも、私が見た回の面白さは
            北九州ゲスト、特に寺田さんの力、というか
            あのバルーンの技が効いてたな。
            新入りの鈴村が挑戦するハードルが高低いろいろで
            しかも、高かろうが低かろうが
            彼が全力でそのハードルに挑むってのが
            この作品の鍵のひとつだと思うから。
            寺っちがプロの技を軽々とだしてきたのは
            効いてたなぁ。
            いや、もちろんマクドナルドネタも好きでしたけど。
            それにしても、岩崎さん、ギターお上手ですね。
            多田さんは、演出家のくせに2枚目でなんか憎たらしいですね。

            | 立石 義江 | 観る日々 | 13:32 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            「君の名は」
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              11月2日 天神東宝 監督:新海誠

              アニメは今ひとつ苦手な私ですが
              公開当初からの評判のよさにさすがに見に行こうかなと思い
              でも、どうせ長くやってるやろうから後回しでいいやと
              のばしにのばし、もしかしたらこのまま見逃すパターンかと
              いうくらいのこのタイミングでやっと鑑賞。

              結論。
              評判どおり、よくできた面白い映画だと思いました。
              いや、ちょっとウルウルさえしました。
              夢の中でのいれかわりの話だとは聞いていたので
              なるほど、携帯電話のある時代の「君の名は」は
              こうでもしないとすれ違えないのね、と納得、の後
              え、さらに?という時間のねじれ。
              SF的にあれは歴史を変えたことにはならないの?とか
              つっこみどころはあるような気はするけど
              そこは私もそんなに詳しくないし。
              何より、ただのロマンチックなモチーフだと思っていた
              「彗星」がああ使われるか、そしてどうなるのか、と
              けっこう入り込んでみておりました。
              雪の降る橋の上での2人のすれ違いなど、「あれ、これはオマージュ?
              高校生にはわからんだろ?」なんてニヤリとする場面もあって、
              いや、これは確かによくできてると。

              でもやっぱり私はアニメとは相性悪いのだなと思うところもあって。
              これはこの作品に限ったことではないのだけど
              今ひとつ感情移入ができないのだ。
              役者さんであれば、「この人、こんな表情みせてくれるんだ」と思うところが
              アニメだと「あれ?ちょっと顔ちがうけどこれ、誰?」ってなっちゃうし。
              あと、これはアニメに限らずだけど、恋愛モノ映画の好きになる過程とか理由に共感できないと感情移入できないってのがあって。
              この作品の場合は「運命」ってことになるのかしら。
              まぁ実際の恋愛なんて、「好きなもんは好き」で過程とか理由とかいらないもんだろうけどね。
              いや、確かにお話としても面白くて、キュンキュンもできて
              ヒットするのもよくわかるな、って映画でした。

              | 立石 義江 | 観る日々 | 13:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              「淵に立つ」
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                10月31日 KBCシネマ 監督:深田 晃司

                今年は邦画豊作の年だな。
                10月からこっち
                「怒り」「淵に立つ」「永い言い訳」と
                本のつくりにも役者の演技にもうならされる映画が続く。
                重い、もうここまででお腹いっぱいに重たいよ、勘弁して
                ってなった後に二重三重のずっしり重いパンチが来る内容だけど
                ずずんと響く映画だった。

                親から鉄工所をひきついだ夫利雄。
                敬虔なキリスト教徒の妻章江。
                小学生の娘をもつ平凡で平穏な生活に
                夫の古い友人八坂が訪ねてきたことでから広がる波紋。

                ひとでなし。
                浅野さん演じる八坂、冷血で非道な人間なのも確かだけど
                なんというか、物理的な意味でも人間の温度を感じない
                別な生き物のように私には見えた。
                というか、前半の「平穏」なはずの家庭の姿も
                なんだか温度が低い感じ。
                妻と子供が食前のお祈りをする中、一人黙々と食事を始める夫。
                空虚で冷たい風景。
                そこへ入り込んだ八坂が礼儀正しく振る舞い、丁寧にしゃべるほど
                仮面が厚くなっていく気味悪さを感じた。
                だから、川辺で古舘さん演じる利雄に
                「ちっさい人間だな」と彼が本音を漏らした時
                怖かったけど、なぜかホッとした。
                この人、人間だったんだと。
                私には妻の章江がこんなひとでないような人に魅かれたのかが
                どうにも理解できないと思ったけど
                もしかしたら彼女が神様を求めていた人だったからかも知れないな。
                事件のあと、八坂の幻に悩まされる彼女は
                憎みながらも彼を求めているようにも見える。
                彼に魅かれていく若い頃の筒井さんは本当に可憐で
                8年後に八坂の息子に「八坂の目の前であなたを殺したい」と言った時の彼女は
                本当に怖くて、
                女というものの、母というものの底の深さに感じ入る。
                夫の利雄が、重い事件があるごとに温度を増していくようで、
                何を考えているのかわからない男。
                過去の事件のことも、娘の事件のことも
                妻と八坂との関係も
                彼の中でどのくらいの重さでわだかまっているのか・・・
                だからラストシーンの彼の叫びが一番人間ぽくて
                やっぱりちょっとホッとする私がいるのだ。
                どうしようもなくやるせないラストなのに。

                | 立石 義江 | 観る日々 | 21:15 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                「ハドソン川の奇跡」
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                  10月10日 中洲大洋 監督:クリント・イーストウッド

                  「キャプテン・フィリップス」
                  「ブリッジ・オブ・スパイ」そしてこの「ハドソン川の奇跡」
                  ここのところのトム・ハンクスは
                  何か特別な能力を持ったヒーローではなく
                  職業人として、人として、誠実に仕事に向き合った結果
                  英雄となった、という役が続くね。
                  そして、トム・ハンクスの職人技な演技は、
                  映画の登場人物の仕事に向き合う姿とも重なりあって
                  みごとにどれも映画としてもとてもいい映画だね。

                  実話をもとにした映画。
                  離陸してすぐにバードストライクでエンジン停止。
                  眼下には高層ビル群が迫ってくる中、
                  機長の英断で冬のハドソン川に着水。
                  一人の犠牲者もださなかったという奇跡。

                  結末がわかっているのに
                  事故の様子のハラハラや
                  機長の諮問会の結果やいかにのドキドキが
                  せまってくるってのはいい映画だよね。
                  こちらは監督クリント・イーストウッドの職人技のほうかな。
                  「タイミング」たった十数秒のタイミングが何百人の人の命を左右する恐ろしさ。
                  そのタイミングが大事ってこと、気付いてしまえばほんと簡単なというか
                  当たり前なことなのに、それに気づかず一人の人間を社会的に抹殺しようとしていた
                  って、これまたそら怖ろしい。
                  パイロットだけでなく、お医者さんとか命の重さと向き合う職業の人って
                  ほんと、すごいな、と思う。
                  いや、本当はどんな職業も人の安全とか幸福とかにつながるように
                  できてるのでは、とも思うけど。

                  トム・ハンクス、すごく好きな俳優ってわけじゃないのに
                  これだけはずさないと好きな俳優になっちゃうよね。
                  ちなみに、トム・ハンクス出演で一番好きな映画は
                  「すべてをあなたに」なんだけどね。
                  額にしわ寄せてない、軽やかなトム・ハンクス。


                  | 立石 義江 | 観る日々 | 09:45 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  「カノン」
                  0
                    11月4日 KBCシネマ 監督:雑賀俊朗

                    いや、こりゃ泣くわ。
                    ちょっとずるいわ。
                    失われた母と娘の絆を取り戻す物語。

                    金沢の料亭の女将として慕われた祖母の葬儀から映画は始まる。
                    祖母の葬儀に集まった三人の姉妹は遺言から
                    死んだと聞かされていた母が生きていることを知らされる。
                    アル中で荒れていた母の記憶しかなかった三人の娘の戸惑い。
                    母に愛されなかった記憶から自己肯定できない長女は夫のモラル・ハラスメントから抜け出せない。
                    婚約者と母親の仲のいい姿を見た次女は母を憎んで育った自分に結婚への不安を感じる。
                    祖母の跡を継ぎ、若女将として修行中の三女は母と同様にアルコールに救いを求める。
                    それぞれの抱える問題も明らかになる中、三人は母の人生をたぐり始める。

                    いや、素晴らしくわかりやすく
                    どうしたって泣けるいい話にしてあるけれど
                    ちょっと説明にすぎる気もする。
                    姉妹の母の過去を探る旅が、
                    結局おばあちゃんに何もかも教えてもろとるやん、みたいな。

                    | 立石 義江 | 観る日々 | 19:22 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    「ロング・トレイル」
                    0
                      10月9日 KBCシネマ 監督:ケン・クワビス


                      じいちゃん、ばあちゃんがHIP HOPを踊る映画を見た後に
                      じいちゃん2人がひたすら歩く映画を。
                      天下の2枚目、ロバート・レッドフォードをじいちゃんと呼ぶのも失礼な話だが
                      調べたら80才、うちのお父ちゃんと同じ年なんだな。
                      まぁ立派なじいちゃんだ。

                      半ばリタイヤしたような生活を送る人気作家が
                      思い立ってアパラチアン・トレイルの踏破に挑戦しようとする。
                      一人では絶対に許さないという妻の言葉で探したパートナーは
                      昔よくつるんだ破天荒な友人。
                      果たして2人は3500kmとう山道を歩ききることができるのか・・・

                      いわゆるロードムービー。
                      若い時は共に無茶もしたけど道が分かれていった2人。
                      旧友とのぎこちない再会。
                      認めたくない自分の老いや病気。
                      歩きながら、歩きながら向き合っていく二人。
                      ラストの妻との再会、エマ・トンプソンがちいさく息を吸ったときに
                      きゅんとした。
                      こんな何気ないくせを覚えてるのが夫婦なんだな・・・

                      最近、高校時代・大学時代にそれぞれ仲のよかった友人と長電話する機会があった。
                      SNSとやらのおかげで、筆不精の私でも昔の友人とつながることも増えた。
                      でもメールやSNSのやりとりが多い中、電話って久しぶり。
                      学生時代のあの頃のように、そんなこと会って話せば、っていうような
                      無駄話を電話でだらだらと。
                      気づくと夜はふけて、手がしびれてて・・・
                      そんな長電話がえらく新鮮だった。
                      そして、話しているうちに忘れていたと思っていたことを
                      少しづつ思い出していた。
                      あの時、私は何をしたかったんだろう、何を考えていたんだろう。
                      会えばなおさらそんな感覚になるのか。

                      そんなことを思い出しながら見ていた。
                      死ぬ前にもう一度、重大な告白、とかじゃなくて
                      ただダラダラしゃべりたいと思う友人は誰だろう。
                      会っておきたいと思う人には会いに行こう。

                      | 立石 義江 | 観る日々 | 21:54 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |