「お勢登場」
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    2017年3月1日 福岡市民会館

    さすが今をときめく黒木華。
    顔ちっちゃいし、かわいいし、
    何より、イケメン・ベテラン引き連れての貫禄さえある座長っぷり。
    個人的には昨年、くだんの件で初めて観られた寺十吾さんを堪能できたのが嬉しい限り。
    物語は江戸川乱歩の短編数本をつなぎあわせて、
    というより、一度ほどいて編みなおしたような入れ子構造。
    イメージの重なる役、正反対の役を自在に一人数役をこなす役者たち。
    もともとの乱歩の不思議な世界観とあいまって
    なんとも心地よく物語に翻弄された感。
    「押絵と旅する男」は川島監督の作品を思い出して
    また見たくなったなぁ。

    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 12:43 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    「人形浄瑠璃 文楽」
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      2017年2月26日 戸畑市民会館大ホール

      「近頃河原の達引」 四条河原の段 堀川猿回しの段なにげに初文楽。
      そうか、文楽の義太夫って一人で一幕語るのか?!
      とか、知ってる人には当たり前なことに感心しきり。
      舞台上での人形と使い手さんのみごとな動き。
      上手に表情豊かな義太夫さんの語り。
      下手に字幕。
      もうどこ見ていいかわからなくて戸惑ったけど面白かった。
      まぁ字幕は私が義太夫聞いてもわからないからとは言え、
      やっぱり不思議な芸能ですよね、文楽って。
      人形が芝居をやることが主役かというと
      人形の頭の使い手さんは顔だしてるし
      義太夫さんも御簾の中とかではなく、顔だして謡ってる。
      しかもとーっても表情豊か。
      てか、一人何役もこなすあのセリフまわしで無表情だったらむしろ怖いかも。
      歌舞伎だと、筋立ては義太夫が語るけど肝心のセリフは役者が語る
      ということが多いので、何役も使い分けてセリフを謡う義太夫さんが
      とにかく新鮮。
      今回の演目は義太夫のお稽古シーンがでてきて
      人形が三味線を弾いて義太夫を語るという多重構造?な感じも含め
      つくづくと豊かな芸能だなーと思った。

      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 13:39 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      アマヤドリ「ロクな死に方」
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        2017年2月25日 ぽんプラザホール


        きびるフェスラストはアマヤドリ「ロクな死に方」。
        面白かったし、よかったし、泣いちゃったし。
        珍しくその場でアンケート書こうとしたけどこんな月並みな言葉しか書けそうになくて断念。
        いい芝居や映画にあたった時に、すぐにも誰かと語り合いたい時と、じっくり一人で反芻したい時がある。「ロクな死に方」は後者で、飲みにもいかずまっすぐ帰宅。
        ビールとつまみを用意して人物相関図を見ながらゆっくり反芻、というかまた泣いた。
        「泣ける」を謳い文句にしてる映画や芝居は大嫌いだが、つい「泣いちゃう」こともある。
        大切な人を失くすという、ある意味ずるいところを突いてくる芝居に
        泣いちゃうことはちょっと悔しいんだけど
        この作品はバランスがいいというのかしら。
        どっかで、あぁここは安心して泣いていいんだ、みたいなスイッチをおされてしまった。
        ぷっつりと突然に「死」というものを突き付けられる実感のなさと
        対照的に、足を踏み鳴らし生を謳歌するような生き生きとした群舞。
        足音、はずむ息。生きていることを確認するように
        生きることへのエールのように。
        そしてまたぷつりとそれも途切れる。
        人は皆、生きて死ぬという当たり前のことがたまらなく愛おしくせつない。

        死んでしまった鞠井君に対して、まっすぐに「会いたいです」という言葉をぶつけられる
        ちさとが羨ましいと思った。
        呑みこんでしまったたくさんの言葉を思い出した。
        鞠井君の夢を見て初めて泣いたという彼女がせつなかった。
        夢でいいからと何度思ったかしれない。
        学生時代からの鞠井君との思い出を語る村瀬がせつなかった。
        忘れたくないことを忘れていく自分にきづく。

        鞠井君の友人武田と結婚願望の強い恋人みい、いつも邪見に扱われる後輩白井の
        3人のシーンに救われた。
        私には結婚願望はとっくにないけれど、みいの前向きさは
        未来への希望を感じさせてくれるから。
        白井ののんきさは、何気ない日常への愛おしさを思い出させてくれるから。


        | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 00:09 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        トラッシュマスターズ「たわけ者の血潮」
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          2017年2月19日 ぽんプラザ

          第一印象は翻訳劇。
          なんというか、情報量が多く言葉の言い回しもどこか構えている。
          登場人物たちが皆、議論好きなのも、ちょっと日本ぽくない。
          菅原家の客間。
          亡くなった祖母・阿久津佳苗が有名な女優だったこの家には
          リベラルな空気が満ちている。
          演劇と虚構の関係、俳優と新しい表現を巡る議論は
          芝居に関わる人間として興味深かったけど
          議論そのものよりその議論に翻弄される
          長女の恋人しょうた君の姿が印象的。
          理屈ではわかっていても、女優である自分の恋人が
          舞台の上で別の男、しかも自分よりかっこよくない男と
          恋人同士なのが許せないって、
          かわいいじゃないですか。

          ヘイトスピーチから慰安婦問題、AIに大麻に・・・
          正直、詰め込みすぎじゃないの?とも思った。
          劇評家や記者、外からの来訪者が去って
          家族だけの議論が濃くなっていくあたりから
          どうにも言葉が頭に入ってこなくなる。
          脳みそが満腹です、とSOSをだしているような状態。
          でも、ラスト、長女が祖母の日記を読み始めたところで
          すっとまた言葉が届いてきた。
          もしかしたら私はこの芝居の見方を間違っていたのかも。
          流れてくる情報を消化しようとし過ぎていたのかも。
          祖母の残した大きなもの、「たわけ者の血潮」を
          受け継ぎながらも翻弄される
          そんな家族の物語として受け止めたほうがよかったのかも。
          ヘイトや大麻やAIや、正解のないかも知れない大きな壁に
          ぶつかり、壊れ、またつながる家族。
          そう見ると、妻を愛し、この家族の血をも愛そうとした父の苦労や
          その血を感じながらひきこもってしまった長男の苦悩がまた
          一段と色を増す。
          そして、まだその血の何たるかを理解できず、
          それでもその血に魅かれている
          長女の恋人しょうた君が一層愛おしくなるな。
          それにしても長女役、多田ちゃんのラストのセリフはよかったな。
          東京へ行ってまた上手になりましたね、
          なんて言ったら上から目線みたいで失礼だけど、
          なんというか相変わらずの愛らしさに加えて「芯の太さ」みたいなのがついてきた。
          てか、役者さんはみんなすごくうまい。
          この2時間半、ゆるむことない舞台を支える役者力を思い知らされた。


          | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 23:40 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          非売れ線系ビーナス「些細なうた」
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            2017年2月23日 パピオビールーム

            キビるフェスも後半戦。唯一の地元福岡勢、非売れ線系ビーナス「些細なうた」は初日を観劇。
            初演の西鉄ホールは見られなかったんだ。
            笹井宏之さんの自由で繊細な現代短歌と田坂脚本のはずむような言葉は
            愛称がよいのかしら。
            たかが言葉、されど言葉。言葉に傷つき、言葉に救われる。
            ひきこもりのカゲフミが、蜘蛛の糸のようにすがりついた短歌の言葉。
            子供の頃教科書で習った短歌よりずっと自由で、
            ちょっと不思議で余韻を残す言葉。
            白い布で囲まれた舞台に灯りがともると
            ぼんやりと、繭のようなもので包まれた空間。
            短歌を字幕で文字情報で見せてくれるのもあわせて
            目の前の言葉と身体の世界に沈んだり、浮かんだり。
            追い詰められ抜け出そうとするカゲフミの気持ちは
            締め付けられるほど苦しいのに
            この浮遊感はなんだか心地よい。

            すごく役者のバランスがよくて、それぞれがいい仕事しているというのも
            この心地よさの理由のひとつかもしれない。
            ベテラン二人の両親はとてもいい親でありながら、
            なぜうちの家庭でひきこもりなんて、という戸惑いを隠せない。
            幻にリアルを与える大竹と、ほぼ田坂そのもののリアルな田坂の対比。
            ぽちはしなやかで小さな彼女の身体をいかした三役。
            結婚・出産を経てこんなふうに復活してくれる若い女優がいることが
            本当にたのもしくうれしい。
            そしてケニー。失礼だけど、初めて心からケニーをいい役者だと思ったよ。


            | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 15:16 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            HIT!STAGE×ヒロシ軍「花の棲む街」
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              2017年2月22日 ぽんプラザホール

              これもきびるフェスの一環でのリーディング作品。
              HIT!STAGEの森さん脚本のお芝居を観るのは
              14+とのコラボの「血の家」以来。
              地元の言葉の響きを生かしたセリフに
              なかなかにシリアスでどろりとしたお話を放り込んだ面白い作品だった記憶。
              今回も、基地のある街という背景に
              英語と佐世保弁の交わる様、血の交わる様、
              戦争の傷跡をたどる作品。
              アフターイベントがあるとは知らずに出かけたけど
              もしかして、これ、本公演前のブラッシュアップのためのリーディング公演だったの?
              急に意見求められても言えないよ・・・
              というわけで、十分に面白い作品だったことは前提として
              あえて、何か意見を言うとすれば・・・

              戦争の爪痕を辿る作品。
              終戦後70年超ともなれば当事を知る人はご高齢または既に鬼門に。
              このお話に限らないけど、登場人物たちの年齢設定や
              なぜ、今この歴史をたどるのか、の動機や意味づけの部分が
              難しくなってくるなーと。
              このお話の軸となるエリーも生きていれば90才くらい?
              しかも二十歳そこそこで子供を産んでいるはずなので
              その娘、孫の年齢は?
              細かいことですが、ちょっと気になりました。
              あとはやっぱりなぜ今?という部分。
              ひろ子がオーナーきはらを救う手立てとして企んだとしても
              やはりなぜ、このタイミングで?とか
              かりんの父、オーナーの父、たいがの祖母が亡くなったのは同じ時期なのは偶然なのか?
              とかちょっと気になる。
              例えばナイトクラブきはらが道楽だけでは持たずに、とうとう取り壊されることになって、とか
              具体的なアクションを起こすきっかけがあればな。
              あと一点はエリーの娘ってどうなったんだっけ?
              双子生んで亡くなったんだっけ?
              本当のおじいちゃん、おばあちゃんを辿る過程に比べて
              お父さんお母さんの扱いあっさりしてるなーと。
              エリーという伝説の娼婦の存在が大きかったにしても
              異母兄弟であるオーナーへの扱いも含めて、
              「血」をたどるお話にしては、って感じがした。

              | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              森キリン「えすえむ」
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                2017年2月18日 パピオビールーム

                きびるフェス、という新しい演劇フェスティバルが始まった。
                情宣のあしなみの遅さとか、
                せっかくの来福劇団をちゃんとフォローしてあげられてるのかとか
                いろいろあるけれど、観客としてはこういう試みはありがたい。
                小劇場系で福岡まで来てくれるっとこういうきっかけがないと
                難しいだろうからね。
                で、トップバッターは劇団森キリン「えすえむ」。
                なるほどエグポップ。福岡にはあまりないタイプの芝居かな。
                タイトル通り、男女の、いや、普通の男と女じゃなくても、の
                愛と欲望のいろいろを覗き見てるような。
                もしかしたらそれは自分を覗き見てるような。

                えすとえむは表と裏みたいな感じが面白かった。
                DV男は暴力をふるった後に後悔で涙し
                殴られた女のほうが男を哀れむ。
                多分、ほんまもんのえすえむの人は
                えすえむとDVは違うと言うだろうけどね。
                まぁ、何がほんまもんかはよくわからんけど。

                ただ、ちょっと物足りない感じはあった。
                その覗き見た倒錯した世界の先に何があるのか。
                彼らのもうひとつ先のお話が見たいと思った。
                それがちょっとくらいエグいもんであってもね。
                独白中心の構成で体感時間がちょっと長かった、ってのもあるかな。


                | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 19:43 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                「世界」
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                  2017年1月15日 シアターコクーン

                  赤堀さんの作品は「この夜の侍」「葛城事件」と映画でしか見たことなくて
                  東京行きのタイミングがあって初観劇。
                  シアターコクーンの最前列。
                  ちょうど一年くらい前、熱海でとぉーくから見た生・風間杜生を
                  今回は数メートルの至近距離で。
                  あぁ。

                  町工場を経営している家族を中心に
                  その従業員や彼らの行きつけのスナックの様子。
                  独善的な父親の姿や、
                  その夫が見えないかのように黙々と何かを食べ続ける母親。
                  「葛城事件」との共通点がそこここに。
                  こちらはどこか救いというか逃げ場があって
                  夫と別れる決心をした母親。
                  家族や仕事のストレスをスナックでのカラオケや
                  スナックのママとの不倫で危ういバランスをとる息子。
                  ちょっとあの映画の表と裏のような世界。

                  温泉に連れていくと約束してくれた不倫相手が本当に現れるのか、
                  怖くて約束の場所に行けなくて、
                  立橋の上から見守っているスナックのママ、鈴木砂羽ちゃんがせつない。
                  大人の女はもう知っている。
                  思い通りにならないこの世界を。
                  そしてその世界で生きていく方法も。

                  思い通りにならないことばかりのこの世界だけど、
                  働かねばならぬ、食べねばならぬ。
                  そして飲まなきゃ、歌わなきゃやってらんない。
                  そんな世界のお話。


                  | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 08:26 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  「アシュラ」
                  0
                    2017年3月8日 中洲大洋 監督:キム・ソンス

                    どうしてこの映画にしちゃったんだろう。
                    観たかった「愚行録」に間に合わなくて
                    時間があうのがこれしかなかったてのもあるし
                    主演がちょっと好みのタイプのイケメンだったてのもあるけど・・・

                    いや、面白くなかったとかじゃなくて
                    とにかく血がいっぱい流れて、やたらと痛そうで。
                    どうにも悪い夢をみそうだ。
                    みんなたくさん血を流して
                    みんな死んでいくけど
                    みんな悪い人なので悲壮感というかかわいそうな感じはしない。
                    主役の弟分が死ぬ時に
                    突然いい人が死ぬ時みたいに哀しい音楽がかかるけど
                    この人も人殺してるし悪人だし。

                    刑事のドギョンはこの街の権力者の市長の手先として
                    汚れ仕事に手を染めている。
                    市長の汚職を暴きたい検察は手段を選ばず、
                    ドギョンの弱みを握り市長の悪事の証拠を持ってこいと脅す。
                    市長と検察の板ばさみになるドギョン・・・

                    でてくるのは警察と検察と政治家なのに
                    悪い人ばかりでどちらかというとヤクザ映画。
                    てか、互いの力関係で争って
                    暴力も辞さないとなれば、会社だろうと政治だろうと
                    それはヤクザだよね。
                    ただこの市長さんの、
                    一見いい人そうだけど悪人っていうのが怖さ倍増。
                    自分から刃物に突っ込んでいって
                    マスコミの前で血を流しながら、被害者を装うとか
                    日本ならドン引きしそうだけど
                    韓国の人は熱いからこの血に興奮するのかもね。
                    てか、この市長役のファン・ジョンミンって
                    「ダンシング・クイーン」で市長に立候補した人のいい旦那さんだった人だよね。
                    あの人が当選してこうなったとしたら・・・さらに怖さ倍増だわ。

                    あ、観る前からイケメンだなーと思ってた
                    主役のチョン・ウソンはやっぱりかっこよかった。
                    頭から血を流し、耳も目もかすんだ状態でぶちきれての
                    カーチェイス。
                    クレイジーで素敵でした。

                    | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 20:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    最新旧型機クロックアップサイリックス「面会謝絶」
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                      2017年2月10日 湾岸劇場博多扇貝

                      あぁなんて久しぶり。
                      長岡さんのいい声、きれるセリフ。
                      それに翻弄される三浦さんのかわいらしさよ。

                      病院の入院病棟の一室。
                      不祥事の追及から逃れるために仮病で入院してきた男と
                      入院生活の長い先輩患者の二人。
                      長い一日を賭け事でヒマつぶしする男たち。
                      担当医師と思われる女二人。
                      ところがカモフラージュでしたはずの検査で本当に病気が見つかって・・・

                      人の、いや、時には自分の病気や生き死にまで賭けのネタにしてしまうのは
                      不謹慎といえば不謹慎。
                      じゃんけんにさえ弱くて、絶対ギャンブルに手をださない私には賭け事を語れないけれど
                      否が応でも人生はギャンブルなのね。
                      逃れられない。
                      てか、川原さんのご挨拶文が一番衝撃だったわ。
                      経営はギャンブル。
                      毎日がなんらかの選択の連続なんだから確かにギャンブルなんだろうけど
                      改めて、安泰にみえる地元有名企業の経営に関わる方の口からそんな・・・
                      その生々しさと説得力がこの芝居を支える。
                      川原さん、社長になっても芝居、辞めないでくださいね。



                      | 立石 義江 | 芝居観る日々 | 09:31 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |