「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
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    2017年5月18日 KBCシネマ 監督:ケネス・ロナーガン

    とても好きな映画だと思ったのにうまく感想がかけない。
    泣いた、でも、ほっこりした、でもなく。
    沁みた、が一番近いかな。

    大きな出来事があるわけでなく
    淡々と過ごすリーの日々。
    いや、兄の死の知らせは十分大きな出来事だと思うが
    それさえも彼は淡々とうけとめ、
    地元に戻り葬儀の手配や
    兄の遺した甥っ子の送迎に追われる。
    しかし、やがてわかってくる
    故郷の街で彼が亡くした大きなもの。
    いつも通り彼女を泊め、バンドの練習に行き、
    驚くほど父の死に冷静に見えた
    甥っ子パトリックの大きな喪失感と不安。
    冷凍庫のチキンを見て突然泣き出す、彼の揺れる心。
    二人が亡くしたものの大きさをうけとめ
    それでも生きていくことと向き合う。
    男同士らしい、
    とても不器用なコミュニケーションに
    微笑まされたり、いらいらしたり。
    マンチェスター・バイ・ザ・シーの街に雪が降り続ける景色とともに
    あとからじわりと沁みてくる映画だった。


    | 立石 義江 | 映画観る日々 | 12:04 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    「トレインスポッティング2」
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      2017年5月10日 ユナイテッドシネマキャナルシティ13 監督:ダニー・ボイル

      20年ぶりの続編って待たせすぎじゃない?って思うけど
      20年たったからこその映画になってて、
      映像も彼らの人生もあの頃のままの疾走感。
      いや、失墜感というべきか。
      20年たって走り続けながらも
      どこか行きつく先が見えてきたような。
      時の流れに抗いながらもどこかにつきまとう哀愁・・・
      まぁ、それを言うなら前作にも哀愁は漂ってたよね。
      何というか大英帝国という国の影の部分。

      前作好きには楽しいと思う。
      そういう自分は、前作見て「うわ、かっっちょいい」と思った記憶はあるけど
      それぞれのキャラとかすっかり忘れてて
      劇場で観る前にDVDで前作確認したよ。
      前の内容を知らなくても映画としては成立するんだろうけど
      やっぱり、見ていてよかったよ。
      あのスパッドのいい奴なのにグダグダな感じとか
      ベグビーの暴走するとどうしようもない感じとか
      レントンの四角い部屋の壁や
      トミーと行った荒涼とした景色も
      一旦思い出しといてよかった。
      何よりもラストのあのヤラレタ!でもなぜかニヤリ!
      って感じを楽しむためにはね。

      | 立石 義江 | 映画観る日々 | 09:22 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      「はじまりへの旅」
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        2017年4月28日 T-joy博多 監督:マット・ロス


        豊かな生活って何だろう。
        人としての賢さとか強さって何だろう。
        その生活の仕方は全く違うけれど
        ロングランヒットしていた邦画「人生フルーツ」を思い浮かべた。
        日々の生活の中に通る確かな信念のようなもの。
        ただベンのやり方は少し極端で頑固。
        自給自足でくらしは成立していても
        社会と分断された生活では
        妻の病気や子どもの成長に追いつかない。
        いや、妻や子供のためにも、と意地になればなるほど
        追いつかなくなっていたのだろう。
        そのことに気付き、子供たちと別れた彼が
        髪を切り、ひげを剃るシーンがせつない。
        ま、ひげ剃ってからのがずっといい男だったので
        結果よかったんじゃないかと思いましたけど。
        個性的でキュートな子供たちがとても素敵だった。

        にしてもさぁ、6人はやっぱり多すぎやしないかと思うのだ。
        もちろん、日本だって昔は5人6人兄弟は当たり前だったわけだけど、
        社会と分断した山奥の暮らしで子ども6人って
        そら母ちゃん病気にもなるわ、なんて超現実的なこと考えてしまった私は
        それはそれで現代社会に染まりすぎですかねぇ。


        | 立石 義江 | 映画観る日々 | 13:33 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛(やじきた)」
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          2017年6月8日 中洲大洋

          どこまでもドリフ。
          歌舞伎役者でドリフのコントをやったらこうなるの?
          いや、もしかしてドリフのコントの面白さが
          もともと歌舞伎っぽかったのか?
          そういえば、回り舞台だの、屋台崩しだの
          歌舞伎並みの豪華セットだったしなぁ。

          とにかく、まぁ、主演の染五郎・猿之助コンビが
          とことん三枚目っぷりを見せ
          右近ちゃんも獅童君も楽しそうにふざけ倒す。
          冒頭の歌舞伎座での2人のアルバイト(笑)シーンでは
          セルフパロディのように失敗だらけの吉野山を見せるかと思えば
          染五郎・猿之助の連獅子なんてなかなか贅沢なシーンもあり。
          構成はあの木下歌舞伎の杉原さんみたいだけど
          脚本は別の人で、演出は猿之助。
          でもあのラップの登場人物紹介はやっぱり杉原さんっぽい。
          お伊勢参りのはずがいつの間にラスベガスへ、って
          ぶっとんでるけど、案外当時のお伊勢参りって
          地元をでて羽目をはずして遊ぶ目的もあったようだから、
          ベガスへ行くみたいな意味合いはあっただろうしね。

          それにしても、「ワンピース」の時にも思ったけれど
          歌舞伎の女形は和服を着れば美しいのに
          洋服だと身体のゴツさが目立ってしまってどうにもいただけない。
          逆に言えば、いかに彼らが和服の所作にたけているか。
          いかに和服が体型をカバーして女性を美しく見せてくれてるか。
          ってことなんでしょうね。


          | 立石 義江 | 映画観る日々 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          ナショナルシアターライヴ「ハングメン」
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            2017年4月20日 中洲大洋 

            ハングマンは絞首刑の死刑執行人のこと。
            ハリーはハングマンを引退して今は地元のパブの親父。
            絞首刑の廃止のニュースへの意見を聞きにあらわれた新聞記者。
            死刑への個人的意見は述べないと言っていたハリーは
            やはり引退したハングマンのピアポイントの名前を出された途端に
            インタビューに答える気になって・・・
            元死刑執行人が、パブの親父としてコニュニティの中心的存在であること。
            ハングマンとしての力関係は、コミュニティでの力関係とも
            密接に関係してること。
            ある意味人気商売的な?・・・

            このあたりの前提がわかってないと
            前半、少々のりにくい。
            会話の中でわかってくることではあるけど
            正直日本人には想像がつきにくいでしょう。
            元死刑執行人が地元の人気者だなんて。
            小さな企みから始まる後半の緊張感の盛り上がりと
            それを突き破る娘の登場。
            緊張と弛緩という法則通りに思わず笑っちゃうから
            これは喜劇なのかもしれないけど、
            結果としてはあと味の悪いラスト。
            やっぱりイギリス人は底意地が悪いね(笑)。

            | 立石 義江 | 映画観る日々 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            「バンコク・ナイツ」
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              2017年4月13日 KBCシネマ 監督:富田克也

              タイというのは不思議な国だ。
              敬虔な仏教徒の国、聖なるものを大事にすると同時に
              観光客相手の風俗店やコピー商品もあふれる俗っぽい国。
              聖も俗ものみこむ包容力は、ある意味その信心深さや
              慈愛の深さからくるものかもしれないけれど。
              そのタイと光と闇がいっぱいにつまった映画。
              バンコク随一の風俗街タニヤのNO.1ホステス・ラックと
              元自衛隊員でバンコクに沈没しているオザワの
              恋愛ものであり、ロードムービー。
              バンコクに沈没したダメンズな男達の企みの合間に
              ちりばめられた景色。
              疾走する三輪タクシーから見るきらびやかなバンコクの夜。
              煌々と照らされた熱帯魚の水槽のようなタニヤの女たちのひな段。
              タイの田舎の漆黒の闇。
              得度式の行列のお祭りのようなにぎやかさ。
              ラオスの野原にあく爆撃跡の大きな穴の生々しさ。

              タイの女性のたくましさが心に残る。

              | 立石 義江 | 映画観る日々 | 20:16 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              「LION 25年めのただいま」
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                2017年4月19日 KBCシネマ 監督:ガース・デイヴィス

                感動の実話の映画化、
                今ひとつのりきれんかったシリーズ第二弾!
                前日に観た「ジャッキー」に続いてのりきれんまま終わってしまった。
                予告編観た時はすごく見たいと思ってたから
                期待しすぎだったのかなぁ。

                実話でたどり着けるであろう結末がわかってるから?
                たどり着くまでの過程が今ひとつ盛り上がらなかったから?
                自分でもよくわからないけど、やっぱりこれも「ジャッキー」と同じく
                誰かに感情移入できたかどうか、かな。
                インドで迷子になって大変な思いをしたサルー。
                オーストラリアに養子にもらわれてからはひたすらいい子だったのに
                急に駄々っ子みたいになるのに今ひとつ思い入れられなかったんだな。
                アイデンティティの問題?
                理屈ではわかるんだけどなー。

                幼少期のサルーが素晴らしくかわいく
                グーグルアースそのままに
                空から移されるインドとオーストラリアの景色が美しく
                いい映画だとは思ってるんですけどね・・・
                「え?タイトルそこ?」とか最後の最後にまた突っ込みたくなったり。

                | 立石 義江 | 映画観る日々 | 13:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                「ジャッキー」
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                  2017年4月18日 ユナイテッドシネマキャナルシティ13 監督:パブロ・ラライン

                  ファーストレディから突然未亡人に。
                  ドラマティックな人生を送ったケネディ大統領夫人・ジャッキーの物語。
                  夫に愛され、ファッションアイコンでもあった「可愛い女性」が
                  夫を亡くして強くなっていく、守る女性、闘う女性になっていく姿。
                  実話をもとにした感動の物語、なのだろうけど
                  正直、のりそこねた。

                  ナタリー・ポートマン、すばらしかった。
                  目の前の夫の死という悪夢に追い打ちをかけるように、
                  ホワイトハウスを出なければならぬ彼女が
                  ありったけの華やかな衣装を着ながら
                  各部屋をさまよう姿は亡霊のように鬼気迫り
                  亡霊というには美しすぎて・・・
                  いや、素晴らしかったのに今一つ感情移入できなかったのは
                  あくまでも個人的な感覚で
                  映画としてつまんなかったわけでは決してないんだけど。
                  彼女の愛と虚栄と強さと脆さと、
                  いろんな感情のドロリと混ざった先にある女性的な部分に
                  共感できずにちょっとのりそこねちゃったんだな。
                  男性と女性で評価やみどころのシーンがかわる映画かもしれないなぁ
                  なんて思った。





                  | 立石 義江 | 映画観る日々 | 11:19 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  「20センチュリーウーマン」
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                    2017年6月21日 KBCシネマ 監督:マイク・ミルズ

                    キャリアウーマンでシングルマザーの母ドロシアに育てられたジェイミー。
                    思春期で不安定な息子を心配した母は
                    彼を見守ってと二人の女性に託す。
                    親子の家でルームシェアするカメラマンのアビーと
                    ジェイミーの幼馴染で理解者のジュリー。
                    もう一人のルームシェアの同居人ウィリアムも含めて
                    それぞれの生きてきた20世紀の物語と
                    少年のひと夏の物語。

                    アメリカの20世紀の時代背景がわかってたほうが面白かったかな。
                    ニュース映像や当時の若者のスナップ写真がヒントのようだけど
                    それが何を意味するのか読み解くには、私には知識が足りなかった。
                    私にとってのてがかりはこれかな。
                    息子:1964年生まれ 15歳
                    母:1924年生まれ 55歳。
                    息子はほぼ同じ年、同じ時代にティーンエイジャーだったってこと。
                    そして、今の私はその母と同世代。
                    母にこそなっていないけれど、自分の稼いだ金で生きてきて
                    気が付けば、女としての衰えや老いと向き合う年齢になっていること。
                    「今どきの若い者は」とは言わないまでも、若者の流行や考えがわからなくなってきていること。
                    15の頃の私は何を考え、何をしていただろう。
                    いい大人になる為にジェイミーのようにいろんなことを考えたり
                    繊細に感じたりはしていなかったような気がする。
                    勉強や規則やいろんなことの窮屈さを
                    目の前の楽しさで紛らすように友達とおしゃべりをして、恋愛をして。
                    ただ、この街を出たいという気持ちだけは彼と一緒だったかな。
                    そして50を過ぎた私には・・・
                    息子に女性の老いについての本を読まれた時の切ない顔が
                    たまらんかったわ。

                    少年が主人公のようで、実はタイトルの通り、
                    20世紀のそれぞれの時代を生きた女3人が主役な映画だ。
                    その中で、女たちに流されて生きているようで
                    そこへいてくれる安心感を与えてくれるウィリアム、
                    結構いい味だしてました。
                    彼がドロシアの元夫のように
                    株価をチェックするドロシアの背中をかいてあげるほんの一瞬のシーンが好き。
                    元夫のよかったところは、左利きであいた右手で背中をかいてくれたことと
                    言った時は「それだけ?」てあきれたいたけどね。
                    昔の男を思い出す時なんかそんなものかもしれないね。
                    胸に顔をうずめるのにちょうどよい身長差だったなー、とかね。



                    | 立石 義江 | 映画観る日々 | 13:38 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    「ムーンライト」
                    0

                      2017年4月6日 中洲大洋 監督:バリー・ジェンキンス

                      マイアミのスラムに住む貧しい黒人の少年シャロン。
                      学校ではいじめられ、ヤク中の母には拒まれた孤独な少年が
                      自分でも説明のつかぬ同性の友人ケヴィンへの思いに戸惑いながら成長していく。

                      少年期の「リトル」、ティーンエイジャーになった「シャロン」、
                      そして成年した「ブラック」。
                      それぞれの時代を3人の俳優が演じる。
                      顔立ちも体つきも違ってて、
                      特に筋肉ムキムキの大人になったブラックは
                      あのリトルやシャロンとは別人じゃないの?と驚くが
                      目が、というか視線が同じでもう一度驚く。
                      あのはにかみともあきらめとも何とも言えない
                      哀しみをたたえた視線が同じ。

                      「月の光の中でお前は青く輝く」
                      売人のボスのファンはこの孤独な少年を
                      かわいがり、子供の頃に言われた言葉を少年に伝える。
                      「お前の生き方はお前が決めろ」とも。
                      シャロンにとって、父のようなこのファンの存在感。
                      ファンは多分シャロンがハイスクールに入った頃に亡くなってるのだが
                      彼の言葉はシャロンに影響を与え続ける。
                      高校生になった彼が起こした事件も
                      その後の彼の生き方も
                      母を赦す優しい心も
                      ケヴィンへの思いを大切に秘めてきた彼の一途さも
                      その弱さも強さも、月の光のように彼が導いてきたような。

                      マイアミの風景は、
                      私が今まで映画やドラマで見てきた華やかな印象はなく
                      月明りに照らされた静かなビーチと青く照らされた少年の姿、
                      街のネオンに照らされた母親の姿だけが心に残った。
                      映画を見たその足でうちの近くのビーチへ行きたかったが
                      春の夜風はまだまだ冷たかった。
                      いつか月のきれいな夜に
                      マイアミには遠く及ばない小さな浜で
                      あの立ち尽くす小さな少年の姿を思い浮かべよう。

                      | 立石 義江 | 映画観る日々 | 13:47 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |